日本財団 図書館


いった部門である。部門における採否決定のための条件としては表3-3の各項目がありうる。

 

表3-3 業務所管課でアプリケーション・パッケージの採否を決定する場合の根拠

 

・全庁的な情報化計画における方針

・システム化を計画している業務に対応したアプリケーション・パッケージの製品情報

・開発・運用体制

・運用開始までの期間

・開発及び運用のための予算

 

システム開発計画の上位計画として、全庁的な情報化計画における開発の基本方針への配慮を欠かすことはできない。アプリケーション・パッケージの積極的な活用が基本方針として打ち出されている場合には、採用を前提とした調査や計画策定が試みられなければならない。

次に、全庁的な情報化計画の有無に関わらず、システム化を検討している業務に対応したアプリケーション・パッケージ製品の情報を把握しておく必要がある。「製品情報の収集・分析」で述べた内容・方法によって調査・分析を行う。

また、部門でシステムを開発し運用していくために必要となる体制(必要な技術レベルや要員数)をどの程度整えうるかについて検討を行っておく必要がある。

さらに、開発計画に対する時間的・費用的制約も考慮しなければならない。制約の厳しい中で開発プロジェクトを成功させるためには、アプリケーション・パッケージの持つ「完成品」としての性格を十分に活用することを考えなければならない。すなわち、業務の流れの違いや帳票の違いの解消について、業務を合わせることをも考えるべきであろう。このように考えた時、歩み寄りの余地があるアプリケーション・パッケージが存在するか否かを見定めるために、製品情報を収集・分析する価値が出てくる。

また、場合によっては、アプリケーション・パッケージの採否の決定と選定とが同時に行われることもありうる。そうした場合でも、全庁的な情報化計画との関連を考慮して、目的意識や他システムとの相互運用性などに不整合が起きないようにしなければならない。

 

なお、クライアント・サーバシステムの開発計画については、汎用機やオフコンのパッケージがブラックボックスとして利用していた通信機能がアプリケーションの主たる機能となっている点で、自主開発は非常に難しいと考えざるをえない。したがって、クライアント・サーバ方式のシステムが目標となった時点で、アプリケーション・パッケージの導入はほぼ決定したものと考えることができる。

こうした情報を収集し整理づけることによって、採否決定のための判断材料を作成し、全庁レベルあるいは部門レベルでの合意形成の道具の一つとすることができよう。図3-5にアプリケーション・パッケージの採否を決定するための諸情報を整理するためのワークシート作成例を示す。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION