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ワークショップ

?「だれでも・どこでも・いつでもできるミュージックケア」

シンポジウム

「芸術は人間の生命にどのように力を与えるか」

11/9

 

◆宮本啓子(みやもとけいこ)

日本ミュージック・ケア協会会長

 

■プロフィール

 

石川県加賀市生まれ、在住。昭和43年、龍谷大学短期大学部社会福祉科卒業。石川県立「錦城学園」(知的障害児入所施設)勤務。平成2年、同学園退職、老人保健施設「加賀のぞみ園」勤務。

昭和53年、加賀谷哲郎先生に師事する。先生没後、石川磁場の会代表として、夏期セミナーの実技と理論の講師を務めている。

さらに、知的障害者だけにとどまらず老人のための音楽療法に取り組む。現在は加賀のぞみ園の音楽療法士と、全国の音楽療法指導者養成のための研修会講師を継続する。平成5年より3年間にわたり、山形県総合コロニー希望が丘が主管するミュージックセラピーモデル事業の講師を務める。著書に集団音楽療法の実技「だれでも、どこでも、いつでも」がある。

 

■要旨

 

昭和43年に知的障害児の入所施設に勤務した時、1分間もじっとしていない「動く重度児」と言われたT君にはじめて出会いました。そして、そのT君の激しい行動をも静める音楽の不思議な力に感動させられ音楽療法への勉強が始まりました。

昭和52年には日本音楽療法協会を設立した加賀谷哲郎先生に出会い、音楽療法を学びました。何げない音楽、何げない動作のなかに子供達が引き込まれて行く姿を見て、これなら重い障害の子供達にもできると思いました。それは「だれでも、どこでも、いつでもできる音楽療法」が理念であり、専門家だけの物でなく現場の職員で音楽が大好きで、子供達の笑顔が大好きな人なら誰でもできる音楽療法でした。また、ねらいは「音楽の特性を生かし対象者の心身に快い刺激を与え、対人的な関係の質を向上させ、情緒の回復や安定をはかる。さらに、運動感覚、知的機能の改善を促し、対象者の心身と生活に好ましい変化を与える。」です。何度も研修に参加し、実践を繰り返してきました。

加賀谷氏がなくなった後、集団音楽療法夏期セミナーの理論と実技の講師を14年間勤め、一日セミナーのために全国を歩き回って来ました。

また実践も、知的障害だけでなく自閉症・一般乳幼児,重症心身障害・精神障害・痴呆性老人・脳卒中・強度行動障害など、あらゆる障害をもっている子供やお年寄りに行い、理論や方法も深めて来ました。

現在音楽療法は多くの医療や福祉、教育の中で注目されてきましたが、音楽療法と言っても医師の指示の元で行う治療としての音楽療法に限定するのでなく、もっと広く「その人がその人らしく生きるための援助を音楽を使っておこなうもの」と新たに考え、ミュージック・ケアとしました。そして、相互研鑚とネットワーク作りのため日本ミュージック・ケア協会を設立しました。現在、各地でミュージック・ケア研究会が活動し始めました。また、しっかりとした理論と技術を命を支える現場の職員に身につけてもらい、多くの子供たちやお年寄りの笑顔が見られるためにセミナーを開催しています。

 

 

 

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