ワークショップ
?「誰もが住みよい環境としてのユニバーサルデザイン」
11/9
■要旨
●バリアフリーとノーマライゼーシヨン
バリアフリーという言葉は、1978年「国際障害者生活環境会議」で「バリアフリーデザイン」という冊子に使われたのが発端である。
日本では、現在バリアフリーという言葉を頻繁に使うようになっているが、アメリカではその後、「障害者のために生活環境からバリアーを取り除く」という「障害者のための整備」というニュアンスを嫌い、現在この言葉はほとんど使われていない。
同じく、ノーマライゼーションという言葉があるが、この言葉も「障害者が普通の人間と同じように生活できる」という障害者が特別扱いしていることから、現在アメリカではあまり使われなくなったようである。
その代わりに使われだしたのが「ユニバーサルデザィン」であり、「インテグレーション」である。
●ユニバーサルデザインとインテグレーション
ユニバーサルデザインはすべての人のためのデザインといわれ、別名「デザイン・フォ・ライフスパン」すなわち、一生を通じて使うことの出来るグッドデザインということである。
そして「障害者のため」ではなく、当り前に、普通に、みんなが同じように生活できる事をインテグレーション(結合)という。
●公園におけるユニバーサルデザイン
「多様性を持たせる」ことと言い換えることができる。「誰もが、座れる公園のベンチを一つ設置することではなく、誰もがどれかのベンチに必ず座れる」工夫をすることである。
これは、言い換えれば、自然環境を破壊してスロープをつける事を提唱しているのではなく、どうしてもアクセス出来ない公園ならばそこまで行けなくとも、その代わりとなる「ビューポイント」を設置すればよい、という考え方である。
●300人の聞き取り調査から
1991年から高齢者・障害者の方から聞き取り調査をはじめた。どんな公園がほしいかという質問に対してほとんどの人は「花や緑、風や光、自然のある空間でみんなと同じように特別でなく、楽しめる公園がほしい」ということであつた。
これは、ユニバーサルデザインの考え方そのものである。 ヽ
しかし、ユニバーサルデザインは99%に使いやすかったとしても、残り1%に使いにくかったら、それは厳密にはユニバーサルデザインとは言えない。「これがユニバ一サルデザインである」という具体的な物を示すことは大変難しい。99%を限りなく100%に近づけるデザイン努力を行い続け、その過程で生み出されるデザインがすなわちユニバーサルデザインである。
●1.高齢者から障害者そして幼児まで、すべての人が「楽しめる公園」であること
2.その公園の持つポテンシャルを最大限に生かした公園であること
3.障害者配慮が決して突出せず、さりげなく障害者配慮が行われ、配慮を必要としていない者には、それと気づかせないほどに上手くデザインの中にとけ込ませていること
4.デザインそのものが優れていること
●プログラム整備
ハードとしてのユニバーサルデザイン公園が出来上がったとき、その公園は本当に「人にやさしい公園」と言えるのか?
同じく、聞き取り調査の中で「みんなと一緒に楽しめるプログラムががほしい」「公園を楽しめるポランテイアがいればいいのに・・・」という声が多く聞かれた。
●21世紀の「人にやさしい公園づくり」
単に、ユニバーサルデザインを取り入れたハード整備のみならず、使う人が「本当に楽しかった」「来て良かった」と言われるソフト整備が合致してインテグレーション空間が出来上がる。
公園は駅やデパートのように単一の目的のために存在するのではなく、あらゆる人のさまざまなニーズを自然環境のもとに満足させ得る文化空間である。
前ページ 目次へ 次ページ