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事例報告?

「魂を癒すアートのカ」

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◆寺口淳子(てらぐちじゅんこ)

メモリアル・キルト・ジャパン代表

 

■プロフィール

 

職業 看護婦。1973年より京都市内の民間病院で地域医療を、急性期からターミナルケアまで経験。医療関係の雑誌でメモリアル・キルトを知り、第1回ジャパンツアー準備会(1990年秋)のときより関わる。

1993年退職し、NPO活動に専念。1994年よリメモリアル・キルト・ジャパン代表。他のNPOで電話相談、医療相談、ケア・サポートにも関わる。(油絵も描き、個展活動5回。)

 

■要旨

 

1.AIDSメモリアル・キルトとは

HIV感染症/AIDSに倒れた人々を悼み、その思い出を布という素材の中に記録したメモリアル・キルト。一枚のキルトは90cm×180cmで、ちょうど人がひとり横たわれる大きさです。そこにはその人の名前や愛用していた衣服に、小物類が縫い付けられていたり、周囲の人達からのメッセージが記されていて、私たちが一人一人違った個性を持っているようにそれぞれの表情があります。これらのキルトは亡くなった人達の家族や友人、恋人達の手によって今も作られています。

 

2.メモリアル・キルト・ジャパン(MQJ)とは

AIDSメモリアル・キルトの動きは1987年アメリカのサンフランシスコで始まりました。“エイズ”というだけで、統計上の数字でしか表されなかった人々の存在を、「彼/彼女らを忘れない」と、その名前を布に記したのです。そしてキルトを作ることが愛する人を失った悲しみを乗り越える力ともなったのです。MQJはこのキルトの活動を日本で紹介しようと、1990年11月に設立されました。現在の主な活動はメモリアル・キルトの作成に関わることと全国の学校や地域の催しなどで、キルトを展示しキルトやAIDSについて語り合う“デイスプレイ”を行っています。

 

3.キルトのつながりは人のつながり

キルトと出会う場は、今だにAIDSを特別視する社会の問題、HIV/AIDSと共に生きている人々(PWH/A)の存在も含め、これらの問題を自分に身近なこととして考えていく機会を作り出します。彼らの存在を忘れることなく、それぞれの命と向き合い、仲間たちと語り合っていくことで、自分にできる何かを感じることができるでしょう。

 

 

 

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