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3 津波対策施設の整備

津波対策施設の整備の例として,「当目大橋陸閘電動・遠方操作設備工事」及び「栃山川水門」について見てみよう。

 

(1)当目大橋陸閘

(静岡県資料)

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工事概要

静岡県のほぼ中央に位置している焼津市、藤枝市を流域とする二流河川瀬戸川があります。下流の焼津市内は堤内地盤高が川床高より低い、いわゆる天井川となっております。海抜高は2〜6メートルの低地盤で店舗、住宅、工場等が密集しているため津波の被害を受け易く、このため静岡県では、河積拡大、堤防の嵩上げ等対策(瀬戸川中小河川改修事業)を行っており、当目大橋陸閘及び制御システムも同事業の一環であります。

瀬戸川河口より360m地点の国道150号に架る当目大橋(巾16m長さ150m)は橋面高TP+5.18となっており両岸堤高は東海地震の際予想される津波高TP+6.00まで嵩高しましたが橋面が堤防より0.82m低く、河口が駿河湾に向かって大きく開いているため津波が囲うより遡上し橋面から両堤内に流出するおそれがあります。

この対策として、橋の両側に陸閘を昭和60年度設置し、さらに、迅速、確実に作動させるために昭和61〜62年度、電動化、遠隔制御の工事を実施しました。

 

陸閘の操作

1.遠方監視および操作当目大橋陸閘は、現地(機側)手動と電動及び沿革電動運転の3方式で操作運転できます。

現地(機側)運転時は、陸閘に設置された操作盤のスイッチ操作で運転できます。

遠隔運転は、焼津市消防署東分署に設置された操作卓から運転されます。遠隔操作では、次の順序によって行われます。

(1)150号に設置された道路情報板に当目大橋を通行止する旨の通告

(2)橋の両岸の遮断機による交通遮断

(3)橋近辺へ陸閘作動の警告放送

(4)陸閘本体の閉動作及び周囲への回転灯、サイレン警報

<(1)〜(4)>の操作は自動的に次に操作するスイッチにランプを点灯させる自動案内操作卓です。

陸閘本体の閉動作に要する時間は約1分40秒です。消防署東分署では、150号の状況、陸閘の作動状況、瀬戸川河口の監視が6台のテレビで行われます。

 

2.制御システムについて

システム構成は、有線、無線共用テレメータシステム・光ファイバー(自営回線)電送による音声、データ、ITV動画監視システム、道路規制用に情報板及び遮断機、電源設備として発動発電機、直流電源装置他、電動接尾として機側操作盤、ゲートモーター、サイクロ減速機等です。

親局設備は24時間管理体制がとれる焼津市消防署東分署(当目大橋から約2km)に設置され、静岡県が焼津市に操作委託し運用されます。

地震発生後又は大津波警報発令後等津波襲来の危険がある場合陸閘閉操作が行われます。また、光ファイバー系が万一地震等で断線した場合は、400MHz単一回線に自動的に切替わりテレメータ系の監視、制御ができるシステムとなっています。

なお、焼津市消防署東分署設備及び当目大橋陸閘設備は、通常は商用電源で作動しますが地震等で停電した場合は、ただちに発動発電機より12時間給電します。

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