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11  神戸市民の安全の推進に関する条例

 

阪神・淡路大震災から3年目に当たる平成10年1月17日から施行された「神戸市民の安全の推進に関する条例」を紹介しておく。

(神戸市資料)

 

神戸市民の安全の推進に関する条例

 

前文

平成7年1月17日に発生した大地震は,かけがえのない多くの生命を一瞬のうちに奪い,私たちの愛するまち神戸に未曽有の大被害をもたらした。震災によって私たちは,自然のもつ力の大きさを改めて思い知らされた。

一方,あの極限の状況のなかで,私たちは,隣人へのやさしさや思いやりを忘れなかった。私たちは,このことを誇りに思う。あの日あの時の体験は,助け合いの精神の輝きが,いかなる危機にも対処できる勇気と英知になりうることを教えてくれた。

災害はいつまた私たちのまちを襲うかも知れない。災害のみならず,繰り返される犯罪や事故もまた,私たちの生活の安全と安心を脅かしている。私たちのまちを,くらしを,いのちを,私たち自身の手で守るために,今こそすべての者が目標を共有し,それぞれの役割を自覚し,力を合わせて安全なまちを築いていかなければならない。そして,後の世代にその成果と協働の精神を伝えていくこと、これこそが,国の内外から温かい支援と励ましを受けてきた私たち神戸市民に与えられた使命である。

ここに,この神戸を,自然と共生し,誰もが心から愛着をもてるまち,豊かな市民生活をはぐくむまち,そして誰もが安心して暮らすことができる安全なまちとして創造していくための決意を示すため,この条例を制定する。

第1章 総 則

(目 的)

第1条 この条例は,災害,犯罪及び事故から市民の安全を確保する上で必要な基本理念を定め,並びに市,事業者及び市民の責務を明らかにするとともに,良好な地域社会の形成その他の市民の安全の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより,安全な都市を築き,もって現在及び将来の市民が安心して暮らすことができる社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 市,事業者及び市民は,その能力を生かし,それぞれの役割を果たしつつ相互に補い合い,協働することにより,すべての人が安心して暮らすことができる安全なまちづくりを推進するように努めなければならない。

2 市,事業者及び市民は,地域の安全及び地域における安心を確保する上で自立の精神に支えられた良好な地域社会の重要性を認識し,豊かな地域活動をはぐくむように努めなければならない。

3 市,事業者及び市民は,災害,犯罪及び事故から得た教訓並びにこれらに基づく経験及び知識を日常生活の中に生かし,非常時に備えるとともに,後の世代にこれらを継承していくように努めなければならない。

第2章 市,事業者及び市民の役割

第1節 市の役割

(市の基本的責務)

第3条 市は,前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,市民の安全を推進するために必要な施策を策定し,及び体制を整備する責務を有する。

2 市は,前項に規定する施策を策定し,及び体制を整備するに当たっては,事業者及び市民の意見を積極的に反映するように努めなければならない。

(全体計画の作成)

第4条 市は,基本理念にのっとり,市民の安全を推進するために必要な市全体の計画を作成しなければならない。

2 前条第2項の規定は,前項の計画を作成する場合について準用する。

(調査及び研究)

第5条 市は,基本理念にのっとり,市民の安全を推進するために必要な科学的調査及び科学的研究を実施するとともに,その成果等を公表するものとする。

(国等及び事業者との連携)

第6条 市は,基本理念にのっとり,市民の安全を推進するために常に国,県その他の地方公共団体その他公共団体(以下「国等」という。)及び事業者との連携に努めるものとする。この場合において,市は,必要があると認めるときは,国等又は事業者との間に,市民の安全の推進に関する協定を締結することができる。

 

 

 

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