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5 連鎖内のガスエミッション

 

エネルギー関係は、全システムの重要な部分であるが、今日の議論に同じように重要なのはいろいろなエミッションが健康、環境そしておそらくは気候にさえ影響を与えるということである。完全なる検討を行うため、自動車用燃料の使用によるエミッション及び生成する副生物を考慮しなければならない。

 

5.1 温室効果ガス

 

5.1.1 二酸化炭素

 

化石燃料ベースの二酸化炭素の相対エミッションはシステムにおいて、中間留分化石燃料(軽油)の投入量にほぼ合致する。そのため、適切に設計されたバイオマスシステムでは驚くべき減少を達成することができる。化石燃料ベースの使用と比較すると、前述の小麦(大規模)と比較するとバイオマスが終始システムで使われた場合80%の二酸化炭素が減少する。木材を用いた場合、化石燃料プロセスと比較するとさらに減少の%は大きくなる。

 

従来の自動車燃料に関連するその他の温室効果ガスは、メタン、酸化二窒素(N20)、オゾンである。

 

5.1.2 メタン

 

軽油でエンジンを運転した場合は、メタンエミッションは少ないけれど、エタノールで運転するとさらに低くなる。製造過程(土中の微生物による活動により、農場での集約農業では高いかも知れないが)でのエミッションでさえ、少量の温暖化ガスを出すだけである。湿潤堆肥の場合は、メタン(及びアンモニア)の発生が伴う。しかし、これらはエタノール製造工場で新たに発生するエミッションではなく、すでに従来存在する過程で発生するものである。木材ベースの廃水を使うバイオガスプラントでは、ガス漏洩防止構造でなければメタンエミッションは増加する。これらの関係については、定量化のためにさらなる検討が必要である。

 

5.1.3 酸化二窒素

 

ディーゼルエンジから排出される酸化二窒素エミッションは、非常に微量である。ガソリンよりも低い。(これはガソリンエンジンでの運転の場合であるが)触媒が使われるとエミッションが増加するかどうかは不明であるようだが、酸化触媒ではありそうもない。エタノールエンジンの運転で酸化二窒素がより多く排出されるかどうかはわからない。しかし、酸化二窒素は、窒素分の多い土壌(特に湿った土地)から発生することが知られている。これのような現象は、作物の集約農業の際に大規模に起こる。その発生には、窒素酸化物の降下によっても影響されると考えられる。このため、アルコールエンジンのエミッション低下は反対の効果をもたらすことにもなりかねない。それらは、さらに詳細に調査、定量化されねばならないが、温暖化ガスの総量への寄与は非常に低いに違いない。

 

地表に近い大気中のオゾンも温暖化ガスである。オゾン形成ポテンシャルの変化

 

 

 

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