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3.4 自動車用代替燃料‐大量輸送、移送および事業所での貯蔵に関する安全性のリスクの評価

 

3.4.1 は じ め に

 

前章では、個々の自動車用代替燃料と関連し、その大量輸送、荷下ろしと移送、および事業所での貯蔵に付随する安全性、健康、および環境に関する事項の詳細な議論についてふれた。この章では、個々の問題は、評価の要約の中で総括される。この評価は、2つのパートに分けられる:

 

o 大量輸送および貯蔵作業中における自動車用代替燃料の漏出あるいは流出の相対的危険性の評価;および

o 安全性、健康、および環境に関するリスクからみた燃料の漏出あるいは流出の結果についての評価

 

大量輸送および貯蔵中の様々な自動車用代替燃料の事故による流出に関して、信頼できる統計データがない場合は、以下の評価はかなり主観的なものとなる。しかしながら、この評価において指針として使われたいくつかの物理的および技術的原理がある。簡潔に言えば、それらは次のとおりである。

 

1. 評価のための基準は、ディーゼルおよびガソリンに基づいている。これらの燃料は、常温、常圧で輸送、取扱い、および貯蔵され、長期貯蔵の間安定した状態にある。

 

2. 漏出または流出のリスクは、自動車用代替燃料の輸送および貯蔵圧力が高まるにつれ増大する。高圧のために設計されたシステムに関してさえも、人間のエラー、製造の欠陥および材料の弱さはそれを犠牲にする。

 

3. 漏出または流出のリスクは、輸送、移送および貯蔵設備の温度変化の振幅が大きくなるほど増大する。

 

4. 燃料製品の安全性および品質を維持するために積極的な関与(自動化にせよ手動にせよ)を必要とする自動車用代替燃料貯蔵システムは、本来的により複雑である。複雑さが増すにつれ、人間のエラーあるいは機械/電気の故障により、漏出あるいは流出の危険性を増加させる。

 

3.4.2 流出および漏出に関する相対的危険性の評価

 

大量輸送および貯蔵のリスクの評価を進める際の最初のステップは、輸送および貯蔵過程での各段階を通じて、個々の自動車用代替燃料の事故による流出の可能性を調査することである。次の議論は、各燃料の特性およびその輸送と貯蔵に対する要求に基づく、事故による流出の相対的危険性を検討したものである。

 

更なる研究開発によって解決されなければならない輸送および貯蔵の形態に関するいくつかの潜在的な問題があるので、この部分において水素の評価は考慮の対象外である。例えば、最も良いアプローチとして、メタノールを使い、車載水素源を製造するために、直接車両上でそれを変換するというコンセプトがある。

 

電気は大量輸送および貯蔵の特性からみて、全く違った性格のものであるため、この評価のどの部分でも全く考慮されていない。

 

 

 

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