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3.3.2.1 安全性に関する事項

 

(a) 火災の危険性に影響を与える一般特性

 

エタノール(C2H50H)の一般的な特性は、メタノール(CH30H)のそれとほぼ同様である。火災の危険性に関して、エタノールは、メタノールより揮発性が低く(エタノールのリード蒸気圧力は、メタノールの半分以下である)、爆発限界の範囲はより小さい。このベースだけで、エタノールは、メタノールより安全である。しかしながら、上で指摘したように、エタノールはE95かE85のいずれかとして通常使われるので、エタノールが純粋な形態にある状況はほとんどない。エタノールおよびメタノール混合物では、その燃料蒸気は、高い割合のガソリンを含んでいる。従って、2つの燃料の引火性の特性については差異がほとんどない。

 

安全性の観点から、純粋エタノールに関し重要な一般的物理特性がある。エタノールがメタノールより金属、ガスケットおよびシールに対しあまり腐食性がない一方で、あらゆる容器、転送パイブおよび結合金具がエタノールに耐性のある材料から作られていることを確認することが重要である。エタノール蒸気は空気よりはるかに重いので(メタノールよりさらに重い)、漏出した蒸気は下の方へ動き、そして十分な換気が行われない場合には、引火性のある蒸気/空気として滞留し、低い場所に集まる。幸いにも、ガソリンと同様エタノールは比較的低い「臭い許容濃度」を持っているため、漏れたE‐100やそのすべての混合物の周辺にいた人々は、それを直ちに感知することができる。参考文献2に述べられているように、様々な自動車用代替燃料、特にエタノールとメタノールに関する臭い許容濃度データにかなりの違いがある。このため、臭いによるあらゆる自動車用代替燃料の漏出の感知には、いくつかの不確定要因がある。

 

(b) 輸送中の火災の危険性

 

タンクローリーによる純粋エタノールやエタノール混合物の大量輸送は、石油製品の他の大量輸送と同じタイプの危険性が伴うであろう。タンクローリー容器、パイプおよび結合金具がエタノールに耐性のある材料で作られている限り、同量の輸送されたガソリンあるいはディーゼル燃料と比べ、漏出や流出の可能性が高まると考える理由はない。

 

M100と同様に、E‐100の大量輸送および大量貯蔵はタンクの空きスペースに蒸気/空気の混合物を生み出すが、エタノールのタンク内が摂氏と4度から46度(華氏で約40度から115度)の間の温度に相当する。3.3〜19%までの容積濃度の場合、爆発範囲にある 従って、E‐100を入れた容器またはタンクの中で点火源の可能性を回避するための厳しい事前対策がとられなければならない

 

輸送されるエタノール混合物、特にE85は、燃料蒸気が主としてガソリンからできているため、ガソリンと非常に類似した揮発性および引火性の特性を示す。 メタノール混合物と同様に、E85についての空きスペースの蒸気/空気混合気は、爆発限界の濃度範囲を超えているであろう。

 

(c) 貯蔵所への荷下ろし中の火災の危険性

 

大量輸送トラックから貯蔵所へのE‐100の荷下ろしは、全ての漏出、あるいは流出した燃料の揮発性と引火性を考慮しなければならない。以下の事前対策が必要である。

 

o 機械的な結合継ぎ手を持つホース接続機

 

 

 

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