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1. は じ め に

 

1.1 背景

 

エネルギー安全保障および大気汚染防止に関する国家目標は、自動車用代替燃料(AMFs)の利用に対する関心を高める結果となった。1992年のエネルギー政策法(EPACT)は代替燃料の利用に関して特別の規定を含んでいる。国の多くの地域、とりわけ大気の質が問題となっている州や地方においては、特定のクラスの車両に対し、大気汚染防止のための措置や燃料の指定が法令化された。これらの規定により多くの運輸関係者は、その地域において質の高い交通システムやその他サービスの提供に務めると同時に、地域や州、連邦政府の規則を遵守することが必要となっている。

 

その他の政府の計画においては、代替燃料の利用促進計画に関し、報奨制度により代替燃料の使用を奨励した。たとえば、大気汚染防止計画(CAP)の一部として、連邦運輸管理局(FTA)は代替燃料利用促進計画に資金を提供した「エネルギー省もまた、国立再生エネルギー協会を通じて、フェデラル・エクスプレス社の中型配送トラックを含む広範なクリーン事業所計画のような、多くの代替燃料利用促進計画に資金提供を行なった。

 

代替燃料への関心の高まりは代替燃料を使用する車両の数の増加ばかりでなく、実現可能な自動車用代替燃料の種類も増やす結果となった。自動車用代替燃料の内容をもっと十分に理解したいというニーズの高まりに応える形で、連邦運輸管理局(FTA)とVolpe国立交通システムセンター(VNTSC)は車両の大規模な運行者による代替燃料の使用に関連する安全性および運行上の問題点を検討する計画を立案した。

 

全ての自動車用代替燃料の安全性に関する問題点に関し、追加的な情報を提供しようとする取り組みは時宜を得たものである。 多くの旅客車両やその他の車両の保有者が代替燃料を使って車両を運行している彼らは、これらの促進計画を支援する代替燃料の製造、輸送および大量貯蔵に関連する影響と並び、その施設についての安全性あるいは運行上の影響に関連した最小限の技術上の指導を受け運行している。

 

自動車用代替燃料についての環境、安全性に関する危険性および健康面の分析はここ数年より複雑化している。 これはまず、候補となる代替燃料の種類が増加したことによる たとえば、当初、運輸部門で利用が検討された代替燃料はメタノールのみであり、デトロイト・ディーゼル社がメタノールを燃料とするエンジンの供給を行った。 その後、天然ガスを利用するエンジンが開発され、天然ガスを圧縮して貯蔵することが可能となり、天然ガスも代替燃料のリストに加わった。

 

現在、運輸部門で使用される代替燃料の種類は、メタノールおよびメタノール混合物(M100およびM85)、エタノールおよびエタノール混合物(E95およびE85)、圧縮天然ガス(CNG)、プロパン(LPG)、液化天然ガス(LNG)、バイオディーゼルおよび電池にまで拡大している。さらに、改質ガソリンや改質ディーゼル、燃料電池あるいは水素も関心の対象となってきた。

 

第2の進歩はいくつかの古い安全性に関する分析が、全体としての交通あるいは車両運行の部分にのみ集中していたということがわかったという点である。燃料供給者から車両の燃料タンクまで全般にわたって考える必要がある。さらに車両の運行・運営には代替燃料自動車の運行のみならず、車両を運行するために必要な燃料供給、検査、清掃、洗車などの整備作業を含むものである。

 

 

 

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