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(4) 貨物需要の開拓

県下重要港湾の物流機能のレベルアツプを図っていくためには、現状では海上貨物量が十分とはいえない。このため、背後圏への海上輸送型の産業誘致、育成を図り、貨物を確保していくことが必要である。

熊本県の小売業販売額、工業生産額は順調な伸びを示しているが、地域の経済力のベースとなる人口が鈍い伸び率であることは気になるところである。

物流の活性化は、背後圏の経済力アツプと互いに関連したものであるので、企業誘致、マーケットサイズの拡大につながる定住人口拡大及び交流人口拡大といった施策が総合的に進められることが必要である。

これらは長期的に、総合的に進めることが必要ではあるが、中短期的には次のような努力の積み重ねも必要である。

 

〇見本市、セミナー等の開催による貿易需要の掘り起こし

〇貿易サポート業の育成

〇外国企業・貿易促進団体の誘致

○国際流通センターや物流センターなどの施設の設置等

 

(5) 陸上輸送関係の整備

港湾の物流機能が充分に発揮されるためには、背後地との円滑なアクセスが確保されることが不可欠である。アクセス手段としての高速陸上交通体系の整備・充実による背後圏の拡大を図ることも重要である。

まずは計画されている御船〜延岡間の「九州横断自動車道延岡線」、八代〜鹿児島間の「南九州西回り自動車道」の整備を急ぐ必要がある。

その他、将来的には有明海沿いの幹線道路の整備についての検討も必要である。これらの道路については、外貿コンテナ輸送に対応して大型コンテナの輸送可能な道路とし、物流コスト削減という時代の要請から、有料道路よりも一般道路とすることが望ましい。

 

(6) 海陸複合一貫輸送システム構築

今後、港湾整備と伴に、ポートサービス機能のレベルアツプも図っていくことが必要である。そのなかでも、海上と陸上をスムーズに結びつける機能は重要である。

海陸複合一貫輸送の実現化に当たって重要な役割を担うフォワーダ(貨物の集荷、混載、配送を行い、かつ全区間の運送について責任を負う運送取扱業者)の機能を育成・強化し、船社と港湾運送事業者、トラック事業者など海陸の輸送の連携を強化し、コスト、スピード、信頼性などで県内港湾の魅力を高めていくことが必要である。

 

(7) 九州地方総合物流施策推進会議の活用

平成8年に閣議決定された「経済構造の変革と創造のためのプログラム」に基づき、物流分野においてこれを具体化するため、平成13年(2001年)を目途に、コストを含めて国際的に遜色のない物流サービスを実現する施策として「総合物流施策大綱」(平成9年4月閣議決定)が策定された。

本大綱を推進するにあたっては、関係省庁の連携と地域毎には、国の出先機関、地方公共団体、物流事業者、荷主等によって構成される協議会などの連携体制を整備し、施策の総合的な推進を図ることとされているが、これを受けて平成9年8月に九州地域総合物流施策推進会議が設置された。

本調査研究でとりまとめられた熊本県下の物流拠点整備については、今後、九州地域総合物流施策推進会議を通じて実現化に向けての取り組みがなされることが必要である。

 

 

 

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