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第一次世界大戦では戦死者が労働人口の1割を越すほどの犠牲があったため、1920年代に外国人移入の大波が起こった。1926年には外国人人口の割合が6%となる。フランスとともに大きな移民の受入れ国だったアメリカは、1920年代に移民受入れを制限する法律を制定したが、この時期にフランスでは移民が増え(1931年の外国人人口は271万人)、アメリカを抜いて世界で最も移民の比率が高い国になった。

その後、世界的な経済危機や第二次世界大戦があったために外国人人口は一次的に減ったが、戦後の経済成長が軌道に乗ってきた1960年代半ばから再び急速に増えだした。しかし1973年の石油ショックによる経済活動低下と失業者増加の動きを受けて、1974年以後は単純労働者のフランスへの受入れは公式には停止されている。しかしすでにフランスに住んでいる外国人が家族を呼び寄せたり、政治亡命者などの受入れなどがあるために、その後もフランスに住む外国人の数は増え、1982年には外国人人口の割合は6.8%にまで増加した【図表1-5参照】。

 

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フランスの外国人人口では、以前はヨーロッパ諸国の人口が高かったが、最近ではアフリカ諸国出身者が増加したことが特筆される。外国人人口の中に占めるヨーロッパ諸国の人口は、1931年には90.5%を占めていたが、1990年には40.7%となり、逆にアフリカ諸国の人口は、1931年の3.9%から、1990年には45.4%と増加している。

ところで移民がフランスの人口に与えた影響は大きい。特にフランスでは、社会の均衡を保つために、男性が一人でフランスに働きに来るよりは家族で来る者を優遇したからである。移民がフランスの人口増加にもたらすインパクトには、次のような要素がある。

・男性の割合が55.1%と高く(総人口の男性比率は48.2%)、男女構成を多少アンバランスにしている。これは余り好ましくない要因である。

・25-55歳の年齢階級は50.2%と高い(総人口では39.9%)。これは年齢構成の上で好ましい要因である。

 

 

 

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