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したがってこの図表4-2-5の回帰線の上方に位置する都道府県は標準よりも高齢者介護施設の充実している自治体であり、回帰線より下の自治体は標準以下であることを示唆する。

図表4-2-6は(1)このようにして回帰式の理論値と観測値の差(残差)を比較した高齢者福祉施設の充足度と、(2)要介護老人数に対する高齢者施設の定員数の比率で表される充足度指標を都道府県について作成して一つの図表に表したものである。(2)は、ライフデザイン研究所が作成した47都道府県及び横浜市の要介護老人数(矢口和宏「都道府県別のみた高齢者保健サービスの需給動向」『LDIレポート』1998年2月号)に対する各都道府県と横浜市の特養、老健施設、養護老人ホームの定員数合計の比率を高齢者介護施設充足度の指標と見做すものである。図表4-2-6の■-■線の点線は、残差であるから平均ゼロの分布となる。また●-●の点線は推定された要介護老人に対する介護施設の定員数の比率であるから、全てプラスの値であり、例えば青森ではその比率が29%であることを示す。他方、介護施設に関しては神奈川県も横浜も充足度が低い。残差はマイナス0.497であり、充足率は7%と低い。特に人口当りの老健施設の定員数が少ない。沖縄は人口高齢化率が低い割りには人口当りの高齢者介護施設の定員数が多いことが分かる。

しかし、横浜市は、在宅介護の中心となる人口千人当りのホームヘルパー数に関しては、要介護老人数に対する充足度で見ても東京に次いで高く、理論値からの残差で見ても上位にある。東京や横浜のホームヘルパーの充足度が高く、介護施設の充足度が低いのは、施設建設に必要な土地の確保が困難なことによることが大きいと推察される。しかし、東京都と横浜市では都外あるいは市外に高齢者福祉施設を持っているから、それを含むと高齢者介護施設定員数はここに示した統計よりも多くなるであろう。他方、北海道、青森、沖縄のようなところは土地は比較的確保しやすく、ホームヘルパーは在宅訪問の距離が長くなるし、北海道、青森県では冬は寒さのため、在宅訪問介護よりも施設介護のほうが合理的なためであろうと推定される。(図表4-2-7参照)

なお横浜市の要介護老人数は先のライフデザイン研究所の資料には載っていないので、ライフデザイン研究所と同様な手法で横浜市の要介護老人数を推定した。横浜市自身も要介護老人数を推計している。図表4-2-8の上段は横浜市の推計であり、下段はライフデザイン研究所が用いた年齢別要介護老人率を用いて要介護老人数を推計した数字である。

 

 

 

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