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の自殺者数である。自殺者数は年によってばらつきがあるので、人口当りの自殺者数の統計指標は1992年、93年、94年の平均値を用いた。

この図表が示すように、高齢化率が高いほうが自殺者が多くなる傾向がある。神奈川県の人口10万人当りの自殺者数は47都道府県中、奈良県・滋賀県に次いで低い。高齢化率が都道府県中三番目に低いから、自殺率が低いのも当然ではあるが、回帰線の下にあるから人口高齢化の低さを考慮に入れてもなお、自殺率は低いと言える。平均寿命が最も長く、自殺率が最も低いまちを目指すことは健康で、生きがいあるまちづくりをすることでもある。

 

3. 介護福祉サービスの需給ギャップと将来見通し

 

公的介護保険制度が2000年に導入されるので、「保険あって介護なし」という事態を招かないように、高齢化の進行と介護保健の導入で増加する介護へのニーズ・需要を充足させるに必要な介護施設と介護サービスの供給体制を整備することが必要である。「果たして介護保険制度発足までに、新ゴールドプラン(老人保健福祉計画)の達成が可能であろうか」。自治体によってばらつきがあるようであるが、「都道府県で見ると需給ギャップが大きいところはどこか。充足度が高い都道府県はどこか、低いところはどこか」。「介護保健導入によって問題になることは何か。そういう問題にどう対処すべきか」。こうした問題に答えることが、福祉のまちづくりの当面の課題の一つである。

どの自治体で人口当りの高齢者福祉施設やサービスが多いか少ないかということは厚生省の福祉マップなどで明らかにされているが、本章ではさらに進んで、高齢者介護サービスへの潜在需要ともいえる要介護高齢者数を推定しその需要に対して介護サービスの供給がどれくらい行われているかを示して、福祉サービスの需給ギャップを推計している。高齢者福祉サービスの需給ギャップを推定するもう一つの方法は、筆者が何回か試みた方法である(丸尾、1993年、1996年)。それは高齢化率などを説明変数とする重回帰分析から得られる人口当りの高齢者福祉サービス量の理論値と各都道府県の観測値(実際の数値)を比べてそのギャップを福祉サービス充足度の指標と見做すことである。図表4-2-5は一例として日本の代表的高齢者介護施設である特別養護老人ホーム(以下、特養と略称)と老人保健施設(以下老健施設と略称)の定員数の合計数を高齢者比率(75歳以上の高齢者数の総人口に占める比

 

 

 

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