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フィールドワーク・フェローシップに参加して

 

田中 剛(大阪大学医学部医学科5年)

あこがれのWHOに行ける、セブで泳げる、そしてフィリピンまでの旅費を援助してもらえる、というので応募し続けて三年。やっと念願のフェローに参加できるという気持ちでほくほくと出てきた新宿には実に多才な人々が集っていた。地域医療に取り組む色平先生に紹介して頂いたバルア先生、AMSAの李君しか知っている人は居なかったが、あっというまに14人皆仲良くなってしまい、初日から晩遅くまですっかり話し込んでしまった。(これがえんえん10日間続くことになるのだが、、、)また国内研修のみの仲間ともたった二日間であったがいろいろ話しあう機会が持ててよかった。

初日は国際医療センターの先生や厚生省の方々の話ですっかり国際保健への道にはまってしまった様に思えた。また次の日には日本でのハンセン病について学ぶ機会を得たのだが、村上先生が如何に予防法と戦ったか、平沢さんがいかにして厳しい歴史の波を浴びてきたのか、ということを肌に触れて感じる機会を得た。ただ本を読むだけとは違って、ご苦労をなさった方々から直接お話を伺うことができ、非常に深い感銘を受けた。また行きがかり上、この度のツアーのリーダーという積極的にこの機会に取り組める役割につかせて頂いたことは非常に幸いであった。(他のメンバーにとっては不幸せだったかもしれないが。)

セブでの二日間でもっとも印象的であったのは二人の医学生との交流および彼らの働く診療所の活動についてであった。primary health careや地域保健活動に対する取組もさることながら、彼らの人なつっこさも、右も左も分からないフィリピンという国への大きな愛着の心を抱かせた。そして言わずもがなだが、あの海の美しさ!!ただ二日間に渡る研修が地域の保健所のようなところばかりで、フィリピンという国自体を余り知らない我々にとって少々片手落ちな表敬訪問にすぎなかったとも言えるが、時間は余りにも限られていた。

マニラという都会にはやはリセブの田舎とは違った熱気と多様性がこもっていた。特にWHOを訪ねたあの日の午前、次々と情熱的なプレゼンが続く中、我々の心は感動で満ちあふれていた。最終日のパーテイーでも感じたのだが、余りに一人一人の話が面白すぎ全然時間が足りなかったということは、皆の共通認識だと思う。またJICAを訪ねた時にはフィリピンの政治経済について現地に居られる日本人の立場で非常に興味深くブリーフアウトして頂いた。そして医療面だけでは国の保健体制について理解できないことを痛感させられたものであった。またAMDAからの派遣で現在Tarlac州で活動を続けて居られる岩永先生には個人的にもすっかりお世話になってしまった。

私は特に感染症と母子保健に対する興味を通して漠然と国際保健医療協力について考えていたのだが、 今回WHOレベルから、rural health unitレベルまでのExpanded Programof ImmunizationやMaternal Child Care,Family planingなどを見せて頂き将来に対する大きな指針を持たせて頂いた。

 

 

 

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