同行してくれたDr. D. Socheatと、現地の省衛生部のDr. C. S. Lyの絶大な協力を頂いた。各小学校では、先ずDr. Lyが校長に会い、採血の趣旨を説明して了解を得、無作為に60名を抽出し、採血後には各学童にビタミンC剤20錠と解熱鎮痛剤(paracen tamol)を持たせた(投与したのではない)。後半にはサッカーボールかバレーボールのいずれかを学校に寄贈した。採血を実施した小学校名と採血数は以下のごとくであり、それぞれの地理的位置は図2に示した。
Kampong Krabei 53
Sandan 60
Kbol Chuor 60
Sambok 60
Chhlong 60
Hanchey Leu 60
また、クラチエには1952年以来、ベトナム人漁師が竹を束ねた筏の上に家を作り、そこに家族とともに住むという、いわゆる“floating village”があり、彼らの間に住血吸虫症の感染が多いことが知られている(写真7)。陸上の住民に比べて水との接触の機会がはるかに多い彼らに感染率が高いのは当然であろう。今回はRoka KandalとPeam Teの2水上集落のそれぞれ17名と4名から採血することができた。われわれは水上に浮かぶ彼らの家を訪れて座敷に座ってお茶を頂き、軒下の小さな庭の草花を眺め、肌をなでる涼風に汗を乾かし、思いがけない快適な住み心地を実感させてもらった。
これらの血液はすべてクラチエの省衛生部病院検査室で血清を遠心分離され、日本に持ち帰り、現在、獨協医科大学においてELISAなどの免疫診断を行っており、4月上旬までに結果がでる予定である。