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 1) 検診対象

 

バンザ村では健康手帳既保有者を含め40名について検便と血液検査およびオンコセルカ検査のための皮膚生検を、またウワンゴ診療所の受診者796名に対しては検便と今回初めてビルハルツ住血吸虫検査の目的で尿検査を行った。

 

 2) 健康手帳

 

中央アフリカ共和国には戸籍登録がなく、また同姓同名のものも多いことから受診記録の混同を避けるために考案したものである。この健康手帳は1983年度よりケラ・セルジャン村で使用を始め、バンザ村でも1991年より使用しているが、寄生虫学的検査成績を記入する欄の他に、病院や診療所を訪れた際にその診察、治療記録について記入する欄を備え、ポラロイドによる各人の写真を貼付して通し番号を付し、各人が保管している。なお大部分の者は健康手帳を大事に保管し、有効に使用していた。

 

 3) 検診方法

 

検診は原則的にはバンザ村では採血、皮膚生検、検便を実施し、ウワンゴ診療所では検便と尿検査を行った。なお血液標本および皮膚生検の染色鏡検は標本を日本に持ち帰り、検査を行うこととした。今回は乾期で降雨の心配がない事から、検診の仕事はバンザ村では村の診療所と野外の木陰で、またウワンゴでは例年のごとく診療所の検査室を使用した。

 

 a) 血液検査

 

受診者の指頭血より採血した血液を使用して濃塗および薄層の血液塗抹標本を作製した。これらの標本は風乾後日本に持ち帰り、濃塗標本は蒸留水で溶血して薄層塗抹標本とともにメタノール固定後、ギムザ染色を行ってミクロフィラリア、マラリア原虫などの検索を実施している。

 

 b) 皮膚生検検査

 

バンザ村の33名の受診者について肩部から皮膚小片をとり、その小片をスライドグラス上に一滴の生理食塩水とともに浮遊させ、20〜30分後に遊出するオンコセルカのミクロフィラリアの有無を顕微鏡下で判定した。さらにこの標本を乾燥後日本に持ち帰り、メタノール固定後ギムザ染色を行っている。

 

 c) 糞便検査

 

今回はバイキ地区のバンザ村の40名とバンギー地区のウワンゴ診療所受診者789名についてセロファン厚層塗抹法による蠕虫卵検索のみを行った。

 

 

 

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