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 d) 尿検査

 

ウワンゴ診療所の252名については尿を提出させ、これを約3.000rpm 15分間遠心沈殿し、その沈造を鏡検してビルハルツ住血吸虫虫卵の有無に関する検査を行った。

 

4) 治療方法

 

一昨年度の検診結果で腸管寄生原虫陽性であった者に対しては、抗原虫薬を投与し、現地ですぐに検査成績の得られる厚層塗抹法による糞便検査の結果で寄生蠕虫陽性と診断された者に対しては抗蠕虫剤の投与を行った。使用した薬剤は鉤虫、如虫に対しては日本からの供与薬品として持参したコンバントリンを、住血吸虫、条虫に対してはプラジカンテルを、鞭虫に対しては現地で購入したミンテゾールを投薬し、腸管寄生原虫陽性者に対してはフラジールを投与した。なおマラリア対策としては受診者全員に現地で購入したニバキンを投与したが、ここ数年中央アフリカでもクロロキン耐性株の存在が確認されているので、ウヮンゴ診療所の所長にファンシダールを供与して、完治していない者に対しては我々の帰国後に投与、治療することを依頼した。本年度はバンザ村には村の診療所の看護士にクロロキンおよびコンバントリンを供与して今後の患者には投薬を実施するように依頼した。

 

5) 検査成績

 

糞便、皮膚、血液の各検査成績をまとめると以下の通りである。

 

 A) 糞便検査による蠕虫即検査成績

 

厚層塗抹法のみでの糞便検査により見いだされた寄生嬬虫卵陽性者の成績を纏めたのが表1である。即ち全検査者829名の中厚層塗抹法による嬬虫卵の陽性者は177名(21.4%)であった。その中バンギー地区ウワンゴでは789名中169名(21.4%)であった。またバイキ地区のバンザ村では40名中8名(20.0%)で、ほぼバンギー地区ウワンゴと同じ陽性率であった。一昨年度の全体の陽性率が35.4%であったのが、本年度は21.4%と減少しているのは、陽性率が50.7%と高いケラ・セルジャン村の検診を行わなかったためであると思われるが、それにしてもウワンゴ、バンザ村の何れも陽性率のやや低下が認められている。例えばウワンゴの陽性率は6年前31%、5年前26%、4年前23%、3年前5.5%、一昨年度26%、本年度21.4%であり、バンザ村は6年前31%、5年前32%、4年前40%、3年前32%、一昨年39%、本年度20.0%となっている。なおウヮンゴは同一対象者の追跡調査ではなく、診療所の外来患者を対象にしているため、治療効果判定などの意味は余りないが、地区全体の寄生蠕虫の蔓延状況をみるのには役立つものである。過去の経緯からみた結果、同地区の消化管寄生蠕虫の陽性率は大体25%前後であると判断される。またバンザ村の受診者40名の中、健康手帳保有者は21名で、新たに健康手帳を交付した者は19名である。健康手帳保有者の蠕虫感染率は28.6%、今回初めて受診した人達の感染率は10.5%で、新しい受診者の殆どが首都バンギーで起こった内紛を避けて帰

 

 

 

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