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(5) シミュレーション結果

図1〜3にシミュレーション結果を示す。図1から3まで、それぞれ曲線半径が1000m、600m、300mの場合である。シミュレーション結果として、それぞれの曲線半径において、輪軸の左右変位、アタックアングル、横圧を(a),(b),(c)にそれぞれ示す。左右変位は、曲線中心線から内向きを正方向とし、前軸(1と記す)および後軸(同、2と記す)の両輪軸の結果を示す。アタックアングルは、ラジアル方向からの絶対ヨーイング角であり、ステアリング方向が正である。この結果も両輪軸について示してある。横圧については、両輪軸の外軌側(0UT)車輪の結果のみを示してある。

いずれも4つの台車条件(表2のSS,SH,HS,HH)の結果を、同時にプロットしてある。横軸は走行距離を示す。1mで緩和曲線に進入し、25mの緩和曲線を通過の後、定常曲線を走行する。カントは緩和曲線において連続的に変化するが、スラックについては計算上の困難さから、すべての走行条件において一定としてある。

曲線半径が大きいR1000mの条件では、フランジ接触せずに走行する。すべての台車の条件において、先頭輪軸の左右変位の方が大きく、1軸においては、SS,HS,SH,HHの順に大きくなる。すなわち、剛性が高くなるほど左右変位は大きくなる。また、SHの台車条件(軸ばねは柔、枕ばねは剛)では運動が不安定となり蛇行動を起していることが分かる。通常の2軸台車では、枕ばね剛性を硬くすると安定化の方向にあるが、安定性解析のところでも示したように、1軸台車では、枕ばね剛性が硬くなると不安定となる場合があることが、このシミュレーションでも認められた。

アタックアングルについては、前軸は負、後軸は正の方向にヨーイングする。すなわち、前・後軸とも操舵不足の状態である。軸箱支持剛性、枕ばね共に硬い場合(HH)では、操舵性能が悪く、比較的大きなアタックアングルを持つが、その他の台車ではほぼ同等の操舵性能であることがわかる。

横圧についても以上の結果と同様であり、HHの条件のみ大きな横圧が発生する。その他の台車では、フランジ接触をしていないため、踏面で接触するが、踏面勾配による重力の水平成分と、アタックアングルによる横クリープ力がほぼ釣り合った状態となり、横圧の値は、1軸の外軌側では、ほとんど発生していない。

 

 

 

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