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R600mの曲線では、フランジ接触は生じないが、車輪とレールは曲率の大きいフランジ喉部で接触する。操舵性能として、アタックアングルをみると、R1000mのときと同様に、SS台車がもっとも性能が良く、HH方式が最も悪い。いずれの台車も、前軸のアタックアングルは大きいが、後台車はかなり小さくなっている。横圧についても、同様の傾向を示す。フランジ喉部での接触のため、車輪レールの接触角は大きく、そのため1軸の外軌側横圧は内側に作用する。

なお、HH方式の台車では、この速度においても、運動は不安定であり、ほぼ定常的な振動が生じており、ほぼ臨界速度に近い状態と考えられる。

R300mの小曲線では、すべての条件でフランジ接触が発生する。一方、R600m、R1000mで不安定であったHH台車も、この条件では速度が低いため安定に走行する。フランジ接触が生じると、アタックアングルは、いずれの支持剛性の条件においてもほぼ同程度の値をとり、差が顕著には現れない。横圧が激しく振動しているのは、フランジ接触が定常的に生じずに、接触と非接触を繰り返しているためである。横圧の値もそれぞれの台車間で、ほぼ同程度の値をとるが、最も性能が劣るのは、やはりHHの条件である。

 

(6) 考察

台車の支持剛性、枕ばね剛性に関して特徴的な点を述べる。操舵性能が最も良好な条件は、今回の設定条件のなかでは、SS、すなわち軸箱支持剛性も枕ばね剛性共に小さい場合である。この結果は、通常の2軸台車においても見られる傾向であり、輪軸の持つ自己操舵機能を阻害しない柔支持が好ましいことになる。軸箱支持剛性、枕ばね剛性共に硬くしたHHでは、安定性こそ確保されたものの、操舵性能は最悪となる。

軸箱支持剛性を柔支持に保ったまま、枕ばね剛性を硬くすると(SH)、高速域で運動は不安定になり、かつ横圧も増加し、最悪の結果となる。一方、剛性の条件を逆にした、枕ばねを柔支持、軸ばねを剛支持とした条件HSでは、SHほどの性能悪化は見られないが、柔支持台車であるSSよりは操舵性能が劣る。すなわち、軸ばね剛性の増加で曲線旋回も悪化する結果となった。

従来の2軸台車では、軸箱支持剛性の方が曲線旋回性能に与える影響は大きく、枕ばねは主として走行安定性に寄与する。今回の結果では、軸ばねの効果は2軸台車の特性と類似しているが、枕ばねの影響は異なる結果となった。すなわち、枕ばね剛性も、操舵性能に対して大きな影響を与え、さらに、安定性については、剛性が高いと不安定になることもある。

2軸台車と異なる枕ばねの影響について、もう一点、特徴的な事柄は、後台車の左右変位の挙動である。R300mの小曲線をフランジ接触しながら旋回する条件では、枕ばね剛性によって、異なる特性を示す。硬い枕ばねの場合、その他の条件での曲線旋回状態と異なり、後軸の左右変位が正の値をとる。すなわち、後

 

 

 

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