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この改良形は、車体の連接部ではなく、車端の床下から車体客室内に大きなハウジングスペースをさいて、その中に左右独立の車輪を支持する枠とばね装置を収容したものである。車体の上下荷重は軸箱の上にあり、左右の独立車輪の間隔を保持する台車枠に相当する部材の上の前後方向に2連の背の高い枕ばねを置き、その上に前後に渡した釣合梁の両端から、吊りリンクを介して車体がぶら下がる形をとり、吊りリンクは左右方向のスイングリンクの役割も受け持つと共に、車輪枠の回転に対しても対応する構造になっている。一方、車輪と車体の前後方向の結合は、左右外側の軸箱に支点を持つZリンクにより、一端は隣の車体から、もう一方は自身の車体と結び、曲線路における偏奇角の1/2だけ車輪枠を半径方向に操舵させる。

この構造の場合、釣合梁の安定を保つために輪軸枠から水平方向にピン・リンクから成るアンカーでつないでいるが、十分安定とは云い難い。また、枕ばねが、外側の軸受の上にあることによる車輪軸への偏心荷重に対応するためには、左右の車輪間隔を保つための輪軸枠に偏心曲げモーメントも持たす必要があり、輪軸枠はそれに対応するべく頑丈な構造とすることを強いられ、独立車輪にして車軸の中間部分をなくした効果が出ていない。

 

 

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