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2 21世紀の行政改革としての地方分権と財政調整制度について

 

(1) 問題意識-地方交付税を巡る議論

地方交付税が民主主義の基本たる地方自治の確立を財源面から制度的に保障するものであることは広く理解されてきたところであるが、一方で近年、その財源保障が過度に手厚くなったことにより、逆に地方の国への依存心が高まり、健全な地方自治が育ちにくくなっている、という批判が強まっている。地方自治が育ってくれば本来、地方交付税は段階的に縮小されていくはずであるが、現実には、交付税率を引き上げ地方財源を確保してきても、財政力の意味でも企画力の意味でも地方自治が育ってきてはいない。

一方、雑誌や新聞などに交付税不要論が述べられたりしているが、現在の地方団体間の財政力格差を前提にすれば、何らかの財政調整制度はやはり必要である。

したがって、地方交付税制度自体はリストラが必要であるが、しかし絶対になくせないものであるということを前提に、21世紀に向けた行政機構の整理と併せた地方交付税制度の抜本的な改革案を提案したい。

 

(2) 行政の整理

日本の行政は、明治以来欧米先進諸国にキャッチアップするために非常に広範囲な事務を中央政府に集中させてきた。そのため中央政府は、本来なら民間で行うべき事務も行ってきた。

行政改革のまず第一は民間でできる仕事を政府が行わないことである。また、統計、建設部門などは民間でも十分にできる仕事であり、民営化すべきである。

一方、地方公共財の供給は原則として全て地方の負担と判断で行うべきである。国の事務のうち地方公共財の供給事務を地方政府に移管することが地方自治、地方分権の基本である。中央政府部門は純粋公共財の供給と企画部門に限定されるべきである。

 

(3) 経済性質別の行政単位の再編成

ナショナルミニマム(国家が国民に保障すべき最低限度の生活水準)を具体的に

 

 

 

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