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フォーラムを終えて――?@

FORUM Em.Bridge―――「目に見えないフィランソロピーの橋を架ける」

青木孝子

 

林雄二郎先生から、「フィランソロピーに関する会議の実施を考えているが、手伝ってもらえまいか……」と、ご懇切な依頼をうけたのは、たしか昨年の二月頃だったと思う。私が日本アイ・ビー・エムに在職中、有職者の方々を対象とした幾つかの会議やフォーラムを企画・実施していた経験をかわれての、ご依頼であった。会議の実施といっても、企業と非営利組織ではかなり異なる。会議開催の趣旨、目的、運営方法、継続性、そして財団にとっての意義や会議成果の扱いかたなど、かなり不躾な質問を林先生に遠慮なく投げかけた。権威のある先生になんて礼儀知らずな……と、いま思いかえせば顔が赤くなる。

「Em. Bridge とは、『目に見えないさまざまな橋』をかけるという想いをこめて造られた言葉。その橋のひとつにフィランソロピーがある。脱工業社会にむけて、民間非営利活動を是非とも活性化させたい。自らの手で目に見えないフィランソロピーの橋を架ける作業をしなければ……」林雄二郎先生の熱い想いを具現化し、日本の社会にフィランソロピーの輪を広げる作業とわかり、微力ながらお手伝いさせていただくことになった。当初からの与件は、毎年学識経験豊かな外国の代表的知識人を招聘することで、初年度はダニエル・ベル氏の来日が決まっていた。また、ベル氏の日程から会議期間が決定済みであった。

事務局は日本財団企画課の相澤佳余さんと柏田智恵さん、笹川平和財団の高田幸詩朗氏の三名。その中で相澤さんが初仕事のリーダー役を担い、見事な挑戦が幕開けとなった。四月から開始された事務局作業では、林先生のご意見を入れながら、会議開催にいたる諸準備とそのためのスケジュールチャートを作成し、さまざまな作業が開始された。また、会議の主催はFORUM Em. Bridge 世話人会が行うことになり、代表世話人は林雄二郎先生、会議をリードするコーディネーター役は加藤秀俊先生がお引きうけくださった。世話人会はこのお二方に加え、工学および自然科学の学界、産業界、言論界そして財団界から各界のオピニオンリーダーがご参加くださった。第一回会議がともかく成功裡に終ったのは、世話人会の皆さまのご尽力あればこそと、事務局一同いまも感謝申しあげている。

その、第一回世話人会でのなつかしいエピソード。理工学の専門家から、「橋というのは、それぞれ固定した定点があってはじめて架けられる。工業社会から何にむけてフィランソロピーの橋を架けるのかターゲットが明確でない。橋という表現は適切だろうか?」と言う問いかけ。

 

 

 

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