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国際海洋データ・情報交換(IODE)システム


 国際海洋データ・情報交換システムは、参加国のあいだで海洋データと情報の交換を進めることによって海洋研究、海洋探査、海洋開発を側面から強化していくために確立されたものです。国際海洋データ・情報交換システムは、ユネスコに設置されている政府間海洋学委員会(IOC)のプログラムです。
 海洋学のあり方が、地域的な処理にほとんど限定されていた科学から、海盆や全球のプロセスを扱う研究に広がってくるにつれて、研究者にとってデータと情報を国際的に交換するシステムが不可欠の要素になってきました。また、地域研究に従事している研究者にとっても、各自の研究領域で他国が収集したデータを利用できれば非常に有益です。それぞれの研究者がデータを個別に集めるのではなく、相互に交換できるとなると非常に大きな経済的利点が見いだせることになります。
 IODEシステムが成功するかどうかは、参加国から支持が得られるかどうかにかかっており、また、多数の研究機関や科学者が関与することによって、データだけではなくIODEシステムを維持発展させていくために必要な専門技術が得られるかどうかに係っています。参加国の経済的に裏打ちされた国の支援体制がなければこのシステムは成り立ちません。
 海洋データを収集する技術の発達にともない、1970年代初期までで収集データの種類と量が多くて対応できなくなってしまいました。従って、海洋分野が抱える膨大な量のデータとその種類の問題に対して、世界データセンター(海洋学)を支援していく必要があると考えられるようになったのは自然な成り行きです、収集される全ての種類のデータを処理し、またその量に対処していくだけの専門家を抱えて維持していくことは、もはや1つの研究センターだけの力では御しきれなくなっていたのです。このようなことから、政府間海洋学委員会では、各国に国立海洋データセンターと指定国内機関を設けるシステムを打ち出し、専門家の問題と能力の問題に対処するようになったのです。このような経緯を経て、データと情報を国際的に交換することによって世界データセンター(海洋学)を支援するため責任国立海洋データセンター(RNODC)の概念と二番目のきわめて重要なIODEの要素としての国際海洋データ・情報交換構想がうまれたのです。

 IODCシステムの階層の三番目の要素であり最も重要な要素は、国立海洋データセンター(NODC)です。NODCがなければこのシステムは成り立っていきません。NODCは参加国の海洋活動計画と連絡をとりあい、各国の活動計画からデータを交換できるかたちに処理する役割を果たします。また、ほとんどの場合、NODCはRNODCを兼務します。NODCがなければRNODCシステムも成り立ちません。

 

 

 

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