3.5.2 推定結果
前に記した2方法での津波による流速の推定結果を図3-5-2に示す。ここで流木により推定された流れは矢印で、カメロン効果による流速推定結果は等値線(間隔20cm/sec)で描かれている。
河川上流から貯木場の横の水路にかけては港口へと流出する流れとなっており、流木は最大で1m/secを越える速さで流れている。一方貯木場内は相対的に流れが小さくなっている。カメロン効果によって推定された流速も流木の流れの分布とほぼ同じ分布を示している。
流れは貯木場を過ぎたあたりで速さを減じ、図の左端の河口部の方では逆に流入する流れがみられる。
航空写真が撮影された時刻近辺の検潮記録、及び検潮儀位置での計算津波高を図3-5-3に示す。航空写真は午後3時30分頃(地震発生後21分後)で撮影されているが、検潮記録をみると、津波の波が押し寄せ、波高が極大になる2分程前であることが分かる。そこで、計算において撮影時刻と近い時刻で、かつ検潮儀位置での波が極大すこし前の時刻として地震発生後3時間20分後(200分後)の結果を比べてみることとした。
計算開始3時間20分後の波高分布及び流速分布を図3-5-4、図3-5-5に示す。
波高分布をみると、河川上流部で負、河口部の方で正の値をとっている。これをみると、2km程の間に波高の正負が逆転していることがわかる。
流速分布をみると、波高分布に対応して、河川上流部において流れが港口に向かっているのに対し、河口部の方では流れが上流部に向かい、流れの分布が良く再現されていることがわかる。流速は河川上流部で最大2m/sec、平均的に1〜1.5m/secとなっている。河口部の方では0.3〜1m/secとなっており、いずれも実測より大きめとなっているが、計算波高が実際の波高より大きかったことに起因すると思われる。