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参考資料

資料1 合成開口レーダの基礎

・SARの特徴

 本事業では、SARを利用した海域情報解析手法を開発、検証するものである。SARは、リモートセンシングセンサとして「地質」「防災」「農業」「森林」「雪氷」「海洋」「惑星探査」などの分野で幅広く用いられている。SARの特徴としては、以下のことがあげられる。

(1)センサからマイクロ波を放射して対象物からの反射を捉える能動型センサであるセンサから電波を放射しているため、太陽光の反射を捕らえる従来の光学センサと異なり、昼間でなくとも観測が可能である。つまり、昼夜問わずに観測を行える。ただし、能動型センサの欠点として、システムが大型で消費電力が受動型センサよりも多くなる。このため、常に太陽電池に太陽光を受けられる軌道を持つ衛星もある。

(2)雲などを透過して、その下の物体を観測できる
 波長0.75〜130cmのマイクロ波は可視・赤外と異なり、雲や樹木の葉あるいは砂などを透過する傾向を持ち、それらの下の物体を観測することができる。雲を透過するということは、従来使用されてきたリモートセンシングセンサの欠点である「悪天ではデータを取得できない」という制限をクリアすることができる。また、これらの透過特性から、複数の波長帯のデータを用いた森林のバイオマスの測定や、砂漠の下の地下水脈を観測した例も見られる。

(3)可視・近赤外画像とは異なった見え方をする
 得られたデータ(図1.1)はそのままでは映像とはならないが、信号処理を行うことで画像化できる(図1.2)。その画像は、可視・近赤外画像とは異なり、「地表面粗度等により輝度が変化する」、「山岳地などでセンサ側に山が倒れたような画像になる」などといった特徴を持っている。

 以上のように、「昼夜観測」「全天候性」といった利点を備え、さらに「地表面粗度」をとらえ「可視・近赤外画像と異なる」見え方をするSAR画像は、従来とは異なる切り口から様々な物体を観測することが期待される。

 

 

 

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