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ためのG,C,Pをさらに1点(安倍川橋西側)取得し、それらの点を利用して地形図との差を算出した。その結果SAR画像と地形図との間には最大約143mの誤差がある事が分かった。12.5mというSARの分解能から判断するとこの差はまだ十分近づき得るものであるように思われる。しかし、SAR画像が見た目にかなり粗いために、画像からG,C,Pを取得する時に微妙に位置がずれてしまう可能性が十分にあるということと、画像上の座標と地形図上の座標を正確に対応させる事の難しいことから判断すると、さらに検討が必要である。

2 SARデータと船舶データとの波のスペクトル解析の比較

 次に、シートゥルースとして得られたウェーブライダーデータのスペクトル解析とSARデータのスペクトル解析のついで記述する。例として、8月17目(三保沖)のSARデータのフリースペクトルを図(2.1)に、ウェーブライダーデータのフーリエスペクトルを図(2.2)に示し、それらを重ね合わせ比較した図を図(2.3)に示した。そして10月20目(伊豆諸島沖)のSARデータのフリースペクトルを、図(2.4)に、ウェーブライダーデータのフーリエスペクトルを図(215)に示し、それらを重ね合わせ比較した図を図(2.6)に示した。実測値データ(ウェーブライダーデータ)とSARデータとを比較することによって、8月17目卓越した波の波長は、ウェーブライダーデータが120.1(m)、SARデータは188.4(m)、10月20目の卓越した波の波長は、ウェーブライダーデータが、216.0(m)、SARデータは263.2(m)となりほぼ一致し、基本的な有効性を確認することができた。傾向としては、SARデータのスペクトルの方がウェーブライダーデータのスペクトルよりやや大きな値になることがわかった。

今後の課題について

(1)幾何補正については、最も大きな障害になったのがSAR画像からのG,C,Pの取得である。特に海だけの画像の場合はG,C,Pの取得ができない。そのため、海だけの画像をどのように幾何補正するのかを考える必要がある。

(2)JERSのSARデータは波に役立たないといわれているが、もし、さらにEERSIのSARデータと同期の船舶観測データをもっと多く入手できるなら、波を観測する手法として確立していく必要があり、今後のSARのための基礎資料となる。

参考文献

高木幹雄下田陽久(1991):画像解析ハンドブック、東京大学出版会、423−443為石目出生 深畑晋作 徳尾貴昭 吉田尚史(1983):漁業情報システム実験で用いられた画像処理法、航水研ノート、空と海、No6,31−42

 

 

 

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