日本財団 図書館


 取得可能な海況データのうち、波浪に関するものはSAR画像との同時性が必要になってくる。このため、沿岸波浪以外は完全に同期した観測を行うことは困難である。海水温度は、SAR画像との直接的な相関は低いと考えられる。海流はSAR画像と完全に同期していなくても大きな変化がないと考えられ、また、SAR画像に海流による何らかのパターンが出ている可能性がある。
 衛星で撮影したデータの利点は、広範囲を面的に海況を把握できることがあげられる。また、NOAAなどのように、1日に1回データを取得しているものもある。衛星から得られるデータとして使用できそうなものでは、海面温度とマイクロ波センサによるデータがあげられる。海面温度はSARと直接的な関係はないが、東海大学情報技術センターが行っているように、海面温度分布から海流の状態の調査を行えることが期待できる。マイクロ波センサは面的に海況を把握することはできないが、光学センサではとらえられない波高や海上風などのデータを取得できる。可視・近赤外画像では、波長400〜500mで波が観測できるとした研究もあるが、SAR画像との同時性が必要であることや海洋では光学センサの感度が低いことなどから、解析に使用できるかどうかは‘者の余地がある。
 将来打ち上げが予定されているSAR搭載衛星は、ERS−2の後継機であるEWISAT−1とJERS−1の後継機であるALOSである。これらの衛星に搭載されるsARは現在運用されているSARの改良型であり、2種類の偏波(HH、VV)、可変オフナディア角および複数の観測幅を選択できるモードを持つ。これらのセンサを利用することで、海域情報調査における観測周期短縮や海況と後方散乱係数の関係をより明確に解析することが望める。

 

 

 

前ページ  目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION