日本財団 図書館


たとえ、企画運営者が正しい判断を下しても、楽しんでいる参加者からは不満が出ることもある。特に、高齢者は、若年者に比べ気象条件への身体的適応が低下している傾向にあるにもかかわらず、勇敢で気概のあることを誇りにしており、雨中などでの続行を強く主張する場合がある。参加者からの強硬な意見が出ることも想定しておくことも必要である。
しかし、企画運営者は常に責任の重大さを十分認識し、毅然とした態度で決断しなければならない。また、状況によっては実技指導者や施設管理者の意見を求め、総合的に判断することも必要となるだろう。
[4]実技指導者の安全指導責任

1)指導前の指示
実技指導者は事前に企画運営者と打合せを行い、会場や参加者の特徴、主旨やカリキュラム内容などについて十分な情報交換をしておかなければならない。
また、参加者には活動を始める前に、安全のために必要な注意事項を説明するとともに、ルールやマナーの遵守が事故防止につながること、体調に不安があれば申し出ることなどの確認をしておくことも大切である。
2)指導中の配慮
指導中は参加者の疲労度や体調の変化などを注意深く観察することが大切である。特に、高齢者には遊び感覚に乏しく勝負にこだわり、また集団意識や競争意識が強く、能力以上にむりをする人がみられることがあるので、十分注意しなければならない。和やかな雰囲気を作ってスポーツを楽しむように誘導することが大切である。
また、時間に遅れて飛び込んで来て、準備運動もそこそこに途中から参加する人もある。特に、試合人数の足りないときは、周りもついつい容認してしまうが、このような場合に最も事故がおこりやすいのである。指導者は、注意して、十分な準備運動を指示することが肝要である。
3)指導後の確認
事業終了後には参加者に対して、「十分に楽しめたか」「からだに変調はないか」「施設や器具に危険を感じなかったか」「指導者や企画に不満がなかったか」などについて、アンケート方式で尋ねておくことが望まれる。参加者へのアフターケアだけでなく、次回の安全対策の参考になる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION