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[2]施設管理者の安全管理責任

1)施設・設備の安全点検
スポーツ施設の形状や特徴は、常時管理している施設管理者が最も理解しているところであろう。したがって、施設を貸し出す施設管理者は、施設を安全に使ってもらうために、規則や制限を適切に設定する必要がある。例えば、グラウンドの形状によって、種目や面数を制限したり、練習場所の指定や禁止などの規則はどこの施設でもみられることである。
特に、高齢者は動きのコントロールがうまくできずに躓きやすく、危険回避能力が低下している傾向がある。利用者の年齢や運動の経験年数などによって、ゆったりした空間と安定した面を設定する心がけが必要となる。
また、施設管理者は施設や器具の日々の点検や定期的な検査を実施するとともに、利用者からの施設や設備の利用上の苦情や暇疵の指摘があった場合はすぐ現場を確認し、立入り禁止や使用禁止などの事故防止のための処置とともに、速やかに修理や改善の手配をしなければならない。また、施設の案内や注意事項の表示は見やすく、判りやすくすることはいうまでもないことであろう。施設や管理の不備により事故が発生した場合には、損害賠償の責任を追求されることもある。
2)救急体制や災害対策の確立
施設内での万一の傷害や事故発生に備えて、日頃から応急処置に必要な救急用品を常備したり、医療機関との提携をしておくことが必要である。また、事故発生時や災害時の救急体制をマニュアル化して関係者に周知徹底を図るとともに、マニュアルに沿った訓練を定期的に行うことはいうまでもないことである。立派なマニュアルがあっても、いざというときに活用できなければ意味がない。
[3]企画運営者の安全管理責任

1)良い企画は安全対策の基本
ニュースポーツ事業を企画し運営する責任者は、参加者の特性や企画目的に照らして、適切なカリキュラムを策定し安全確保に努めなければならない。
また、優秀な実技指導者を選ぶことも企画運営者の重要な役割であり、特に安全への配慮や指導技術に優れた実技指導者に依頼することが求められる。また、実技指導者と共同して企画運営者自身が、直接参加者に安全に関する指導をすることも必要となる。
2)会場・機器の事前点検
企画運営者は、事前に施設管理者と十分打合せを行い、会場設営や事業運営に必要な規則や条件を確認し、借用する用具や設備の安全チェック、万一の事故発生時の対応手順や提携医療機関などを確認しておかなければならない。
3)行事中の適切な運営判断
屋外での活動は、寒暖や雨天などの気象条件などに大きく左右される。実施の可否はもとより、途中での天候の急変による中止や一時待機、予定時間の短縮などの判断が求められることがある。その判断は極めて難しく、勇気が必要である。また、都会では光化学スモッグの注意報や警報に対する対応を予め決めておくことも必要となる。

 

 

 

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