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従ってキャンプ中、事故防止のために注意事項として話しておいたことも、すっかり忘れて、ある事柄に熱中してしまうことがあります。
また、そうでなければ自然塾が願っている個性の発見等につながりません。予測しえない自然界の中での事故に対して、これを未然に防止することは、直接子どもたちの身近にいる諸君の努力に待つ以外、私たちキャンプリーダーの力の及ぶところではありません。
従って、指導者の諸君が子どもたちと同一のレベルの童心に立ち返って行動していても、子どもたちの行動を具体的に観察し、次の瞬間果たして如何なる事故が発生する怖れがあるかを、常に洞察してその対処を行わなければなりません。
判れば判るほど、怖くなる役とも言えるでしょう。
もちろん、私たちキャンプリーダーも、適時適切な指示、処置を行いますが、諸君にその自覚がなくては事故が起きるものであることを、特に心得て欲しいのです。

 

過去の経験からして、ややもすれば一般的なレジャーキャンプと同一視して、自分自身が子どもたちの中に没入してしまい、自らも楽しんでいた安易な姿勢の指導者を見受けたこともありました。また、子どもたちの規律から逸脱した行為に注意を怠った者もいました。それでは自主、自由を基本とした自然塾の主旨とはいえ、真の目的は達成できません。
諸君の中には、そんな人はいないと信じていますが、重要な事柄だけに敢えて書き足したものです。
総括として、改めて決意しておかなければならないことは、キャンプは、大切な人の命を預かるという事実です。一瞬の油断も許されません。
いかに高邁な理想を掲げ計画しても、事故があっては総てが失敗です。
キャンプ中ほ言うに及ばず、保護者に無事お預かりした子どもたちをお返しして、始めて私たちの目的が達し、その責任から解放されるものであることを、肝に銘じておいて下さい。私たちに協力してくださる諸君にお願いします。

 

 

 

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