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の評価者の人生観というか、哲学に結局は帰するものとなってくるように考えられる。実際、試験やテストの結果を万人に公正に行おうとする場合には、結局は、無難な左右対称の正規分布に当てはめて、その偏差値に頼ることとなり、周知のように学校での成績評価も以前(現在は絶対評価なので当てはまらないが。)は5(7%)、4(14%)、3(60%)、2(14%)、1(7%)、といった無難な左右対称の正規分布に頼ることとしている訳である。そして、このことはどんな優秀な人を集めた学校・企業でも、それ程でない人を集めた学校・企業でも同じ状況の下におかれることになると思われる。もっとも、評価結果を本人に知らせないこととすれば状況は若干違ったものとなると思われるけれども。そこで、ここでは世上で企業における従業員の評価別割合について2・6・2(2割優秀、6割普通、2割普通以下)が人事の鉄則だ、などとよくいわれたりしているのを耳にしているので、この評価割合についての人事担当者の印象を率直に尋ねてみることとした次第です。なお、この回答を頂いた企業は313社中265社であった。
その結果は、「優秀」は、「2〜2.5割」に59.2%が集中しており、それに「1〜1.5割」が18.9%、「3〜3.5割」が16.2%となっていて、全体を平均すると1.98割(19.8%)となった。次に、「普通」は、「5〜5.5割」に17.0%、「6〜6.5割」に39.3%、「7〜7.5割」に29.4%等と分散していて、その平均は「6〜6.5割」と「7〜7.5割」の中間で前者に近い6.23割(62.3%)となった。また「その他1」すなわち“普通以下の評価”は「1〜1.5割」に40.5%、「2〜2.5割」に45.4%、(他に「3〜3.5割」に7.6%)に集中していて、その平均は1.65割(16.5%)ということになった。なお、「その他2(普通以下の評価にも満たないもの)」にも265社中45社(17%)から回答があり、「1〜1.5割」が80.0%、「0.5〜1割」が20.0%となっていて平均すると0.9割(9%)であったが、これに45社のウエイト17%を加味すると、全体では1.5%ということになった。
これを要するに、企業の人事担当者の、従業員の仕事の仕方の評価による区分割合は、端的にいえば、総じて「優秀」が20%、「普通」が62%、「普通以下」が17%、その他「普通以下でも特別の者」若干(1%)ということになり、やはり左右対称の正規分布に近いながらも、「優秀」の割合が「普通以下」の割合よりも心持ち多い−その意味で左右対称型よりは従業員に優しい内容のものであることがわかった。そして、これが世にいわゆる2・6・2“人事評価法則”の精密な実態なのである。
(4) 評価と賃金格差の方向〔第91・92表参照〕
そこで、企業の人事担当者の抱く評価視点−前問では従業員の評価別割合だけで、賃金の上下幅の大きさについては質問をしなかったが−に基づく忠実な評価を実際に行って、従業員に賃金で十分格差をつけることができるものかどうか、をお尋ねしてみた。その結果は、「相当近づけることはできる」と回答した割合は70.3%に上り、かなり自信を持って臨んでいられる様子が知られた。一方、「やはり無理と思う」との回答は23.7%であった。
これを規模別に分けてみると、「相当近づけることはできる」との回答は「1・2千人台」以上の企業では全て72〜73%の高い回答割合であったが、「千人未満」では63%で、逆に「やはり無

 

 

 

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