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(2) 賃金の上下格差拡大の具体的方向〔第27表参照〕
次に、前問で「もっと賃金の上下格差を拡大すべきと思う」と回答した企業の人事担当者に対して、具体的には、どのように賃金の上下格差を拡大すべきと考えているのか、を尋ねてみたところ、「もっと職務給(職能給)部分のウエイトを高めるべきと思う」との回答が71.3%で飛び抜けて高い回答割合となっており、これと同じ積極的成果主義指向の「もっと役付手当の額を上げるべきと思う」の方は14.8%でかなり少なめであった。これに対して、年功(平等主義)抑制指向の「一定年齢以上の者の昇給の減額や延伸・停止を拡大すべきと思う」が30.0%、「年齢給部分の賃金割合をもっと下げるべきと思う」が24.1%、「勤続給部分の賃金割合をもっと下げるべきと思う」が12.2%と、この指向も根強くあり、今後の賃金の上下格差拡大の具体的方向は、職務・職能給を高める積極的成果主義指向を主に、年功抑制指向を従に、推進されることが明らかとなった。

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(3) 従業員の仕事の仕方の評価別割合について〔第90表参照〕
上述のように賃金の上下格差は今後さらに拡大される方向にあるが、この先の問題を調査するとなると次第に人事の機微に触れるような問題に深入りして行くことになるので、回答を頂くことも難しくなってくる。実際、一部の人事担当者からはお叱りのご意見を頂き恐縮した次第であったが、今回はあえて従業員の評価別割合を取り上げてみることとした。
世上で企業における従業員の評価別割合について2・6・2(2割優秀、6割普通、2割普通以下)が人事の鉄則だ、などとよくいわれたりしているのを耳にしているので、この評価割合についての人事担当者の印象を率直に尋ねてみることとした次第です。なお、この回答を頂いた企業は313社中265社であった。
その結果は、「優秀」は、「2〜2.5割」に59.2%が集中しており、それに「1〜1.5割」が18.9%、「3〜3.5割」が16.2%となっていて、全体を平均すると1.98割(19.8%)となった。次に、「普通」は、「5〜5.5割」に17.0%、「6〜6.5割」に39.3%、「7〜7.5割」に29.4%等と分散していて、その平均は「6〜6.5割」と「7〜7.5割」の中間で前者に近い6.23割(62.3%)となったまた「その他1」すなわち“普通以下の評価”は「1〜1.5割」に40.5%、「2〜2.5割」に45.4%、(他に「3〜3.5割」に7.6%)に集中していて、その平均は1.65割(16.5%)ということになった。なお、「その他2(普通以下の評価にも満たないもの)」にも265社中45社(17%)から回

 

 

 

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