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離島診療所における患者紹介の現状

沖縄県・県立那覇病院附属座間味診療所 糸数公

要旨

座間味診療所における日常診療の守備範囲と病診連携の現状を把握するために、他の医療機関への紹介患者について調査を行った。調査期間は筆者が座間味診療所に赴任した平成7年5月から平成8年7月までの15ヶ月間で、紹介患者数は延106例で全受診患者数に占める割合(以下、紹介率)は2.04%、診療科目別紹介患者数では、外科(脳外科を含む)、整形外科、内科、耳鼻科が上位を占めたほか、産婦人科や泌尿器科でも紹介される率が比較的高かった。

ヘリコプターによる救急搬送患者は全紹介患者の21%にあたり、整形外科と内科の患者が多くみられた。紹介の目的別分類をみると、患者の管理を紹介先に依頼する形の紹介(Referal)が82%で、専門医の意見を求めるための紹介(Consultation)の18%を大きく上回った。観光目的などで島を訪れた患者が外傷のため受診し、地元へ帰る際に治療の継続を依頼するための紹介パターンが特徴的と思われた。紹介状に対する返信率は63.6%と他の報告に比べて低い値を示した。このような調査結果をもとに、離島に赴任する医師に必要な研修の内容や診療所と後方病院の連携の重要性について、今後も検討が続けられることが望まれる。

I.はじめに

沖縄県には40の指定有人離島があり、そのうち19の島に県立病院附属の形で診療所が設置されている。離島の人口規模は約3百〜2千人で、そこに赴任しているのは自治医科大学卒業生を中心としたおもに卒後3〜7年前後の医師である。ほとんどの診療所医師はその島にとって唯一の医師として島で発生するあらゆる疾病にはいつでも対応しなければならず、離島医師のストレスの大きな要因の一つとなっている。医師一人でみることができる診療範囲には限界がありそれを越えた場合にスムーズに後方病院との連携を行うことができれば、患者の治療にとってはもちろんのこと離島医師の不安も解消されそのメリットは大きい。今回、患者紹介の動向から座間味診療所における病診連携の現状を把握する目的で調査を行い若干の考察を加えたので報告する。

II.地理的条件

座間味島の属する慶良間諸島は、沖縄県那覇市の西方約40kmに位置する大小20余りの島々からなる島嶼群である(図1)。

座間味島は周囲23km、面積6.7km2の広さで、人口は平成8年4月現在625名、そのうち65歳以上の高齢者の比率は22%である。島の人口は近年増加傾向にあり過疎化に歯止めがかかっているが、その理由としてはダイビングを主とする海洋レジャー産業に従事する若者のU夕−ンや、島外からの転入者の増加があげられる。出生数も年間10〜15件と他の離島に比べて多く見られる。座間味島の主な産業は観光を

 

 

 

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