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当院における画像電送システム運用の実際

北海道・旭川医科大第3内科 大西浩平・西野徳之
北海道・市立札幌病院外科 青木貴徳

要旨

医用電送システムは、遠距離間を電話回線を利用してX線などの画像を相互に送受信するシステムである。利尻島国保中央病院では、このシステムを1993年4月から市立稚内病院との間に導入することにより救急疾患の搬送適応や日常診療でのconsultationに活用している。そこで、当院における画像電送システムの利用状況を検討し報告する。
1993年4月1日から96年1月31日までの2年10ヶ月間に、当院と市立稚内病院との間で64症例に使用された。このうち交信できた62症例について使用状況を検討した。
以下の項目(?@〜?F)について検討した。?@診療科別依頼先?A救急性の有無?B疾患別利用数?C受診の必要性の有無?D電送資料?E市立稚内病院への搬送症例における画像電送システム使用率?F市立稚内病院(脳神経外科)への搬送症例における画像電送システムの使用率検討の結果、画像電送システムは離島の医療にとって非常に有効な医療支援機器といえる。広大な面積を有する北海道では、離島はもちろんのこと、後方支援病院まで100km(車で1時間30分)を越える地域が数多くある。このような地域に、単純X線写真やCT写真などを電送できるシステムを整備、拡充してゆく必要がある。

はじめに

医用電送システムとは、遠距離間を電話回線を利用してX線などの画像を相互に送受信するシステムである。利尻島国保中央病院(以下、当院とする)では、このシステムを市立稚内病院との間に導入することによって、救急疾患の搬送適応や日常診療でのconsultationに活用することができた。そこで、当院における画像電送システムの利用状況を検討し、ここに若干の文献的考察を加えて報告する。

I.対象および方法

1993年4月1日から96年1月31日までの2年10か月間(以下、期間中とする)に、当院と市立稚内病院との間で64症例に使用された。このうち交信できたのは62症例であった。交信できなかった2例のうち1例は脳出血のためヘリコプターを要請し、市立稚内病院へ搬送した。もう1例は外傷に伴う硬膜外血腫のため定期船で同院へ搬送し一命をとりとめた(電送できなかった2症例は、装置のトラブルによる)。
そこで、われわれは、この62症例について画像電送システムの使用状況を検討した。

 

 

 

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