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II.システム

最初に導入された機種(コニカメディカルPhoto-phone WS型21B)は、以前は市立稚内病院と旭川赤十字病院(脳神経外科)間で使用されていたものである。その後、市立稚内病院に脳神経外科が開設されたため、当院に譲渡された。この装置は白黒静止デジタル変換した電送できる。さらにpointerにより関心部位の指示が可能である。しかし、1枚の写真を送るのに30〜40秒間を要し、また電送中は音声が遮断され会話できない欠点があり、救急搬送時やたくさんの画像を電送するときには多少不便を感じていた。その後、1994年度から当院は「離島等特定地域病院」に指定されたことにより、同年10月からPC搭載型カラー静止画像通信システム(PhotophonePC/80Kit)(図1)を導入した。この機種はISDN(integrated services digital net)、すなわち高速デジタル回線を使用しているので写真を2〜3秒間で送受信でき、電送中の会話も可能になり通信時間が大幅に短縮された。さらに、画像圧縮により高繊細カラー画像も素早くディスプレイ上に電送できるようになった。したがって今回の検討は旧機種から新機種にわたっての上記使用期間における集計となる。

III.結 果

交信形態としては62症例すべてが当院から市立稚内病院への交信であり、逆の交信はなかった。性別では男性が69.3%であった。診療科別依頼先(図2)では、脳神経外科が37例(59.7%)と過半数を占め、次いで整形外科が16例(25.8%)であった。その他の依頼先では外科2例、循環器内科2例、泌尿器科2例、皮膚科2例、耳鼻咽喉科1例であった。救急性の有無(図3)では77.4%が依頼時に救急性があった。また、疾患別(表1)では疑い症例も含めると頭蓋内出血および脳挫傷症例が23例と最も多く、次に骨折(頭部を除く)が13例、脳梗塞が5例であった。

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当院では、頭蓋内出血と脳挫傷症例は基本的に全症例に画像電送システムを使用して脳神経外科医へConsultationしている。これらの症例では、臨床症状以外に、出血部位、出血範囲、出血巣の経時的変化、また骨折の有無が、搬送を決定するための重要な判断要素になった。そのため同一症例で経時的に頭部CTを撮影し、1日に複数回、画像電送システムを使用し、脳神経外科医と搬送の時期、治療方針などを相談した症例が4例あった。
このうち、1例は頭部外傷で、CT上出血範囲が拡大したため、即ヘリコプター搬送となった。他の3

 

 

 

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