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 (D)契約条件

 輸入契約の際には、船価、支払い条件、納期が交渉の中心になり、船主にとって最も有利になる条件が要請されるが、しかし、その範囲は国際慣習に沿った枠内で処理できる程度のものである。

 (E)取引ルート

 チリの海運業は、国営または国家出資の海運会社が主体になっている。
 従って、船舶需要の活発な、もしくは中心となっている政府関係の海運企業であるから、これら政府の関係機関や海運会社幹部との接触を図ることが、取引きの機会を得るための戦略である。
 また、最近におけるチリの貿易黒字の増大に伴って、鉱産物、農牧産品、工業製品などの専用船、特殊船などが、バルク・キャリア、一般貨物船と共に需要増が予想されるため、これら各種船舶について、技術的な情報、PRを関係筋へ提供して、関心をもたせて置くことが取引きへのルートとなる。

(7)競争相手国との競争条件の比較

 (A)延払い、船価、品質等条件の比較

 現在、チリで稼働している船舶は、漁船を除けば、乾貨物船が大部分を占めており、その規模は5,000〜10,000DWT程度のものが最も多く、次いで10,O00〜15,000DWT前後、1,000〜5,000DWT前後の船舶である。
 チリの船舶は、ケミカル・タンカー、LGタンカー、バルク/オイル・キャリア、コンテナ船、冷凍船などは別として、いずれも一般的な貨物船であり、その建造も経験度の高い先進造船国であるので、品質、性能については同一水準にあり、優劣の差はない。
 船価については、わが国は急激な円高の影響を受け、不利な立場にあるが、納期の点では優位にある。
 支払いについては、国際慣習の線に沿った枠内にあるので問題はない。
 1987〜88年にチリが日本へ冷凍船2隻の建造発注した理由は、冷凍船が高度の技術を必要とするものであり、日本の建造技術が優れていること、納期が正

 

 

 

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