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 ガス充気装置は各社とも構造が異なっているため、点検・整備の具体的内容はメーカーの「整備規程」に従う。

(1)ガス充気装置全体の取外し

(a)いかだ側の弁座に各社の専用スパナをかけて、弁座をねじらないように固定し、他のスパナで連結金具の袋ナットのねじを緩めて、カット装置部を連結金具から分離する。
 この場合ねじが緩んだ後は手回しして外すこと。

(b)ボンベサックをボンベから外し、ボンベ口金部にスパナをかけて固定し、他のスパナをカット装置部にかけてねじ部を緩め、ねじが緩んだら手回しして取外す。この場合、ボンペ口金部のボンベネジ込み部を絶対に緩めないこと。

(c)連結金具(不道弁内蔵)は、いかだ側から取外しが出来る構造の製品と、弁座と一体化して取外しが出来ないものとがあるので、各社の整備規程にもとづき注意して行うこと。
 いかだ側から取外しが出来るものは、いかだ側の弁座を手で抑えて固定し、連結金具の六角面取り部にスパナをかけ、弁座をねじらないようにねじ部を緩め、後は手回しで外す。

(d)ねじ嵌合部は、製品により時計方向と逆にまわす構造のものがあるので取外しや再組立ての時に注意すること。

(e〕分解した充気装置の各部品は、開口部を紙テープ等で塞ぎ、布に包んでおき、ねじ山を保護し、異物混入を防ぎ、注意深く取扱うこと。

(2)カット装置部の点検

(a)カット装置本体については、作動ワイヤーを引抜く時の撃針の出入具合、作動の円滑さを数回反復操作してみて異状の有無を確認する。
 ボンベの封板を破る実際の作動力は、6〜15kgの静荷重が必要であるが、ボンベなしの空作動力は極めて軽いはずである。

(b)カット装置内部の点検は、専用工具を用いて、ケーシング、回転部、撃針等に分解し、各部品の発錆、腐蝕、ヒビの有無、変形及びバネ、Oリング等の破損、材質劣化等を調べる。発錆の軽度なものは手入れをし、破損、劣化のものは新換する。

(c)ねじ部の損傷や嵌合具合、蓋の破損、外装状態等を調べる。

(d)作動ワイヤーの腐蝕、材質劣化、切れ等を点検する。特に先端の球体、他端のリンク状の各加工部分は入念に調べ、ワイヤーのビニール被覆が破損し、素線が破断、腐蝕しているもの又は疑わしいものは新換する。

(e)各部品の点検が終えたらケーシング内部、回転部等には所定のグリースを軽く塗り、撃針、Oリング、バネ等を正しい位置にセットして再組立てを行う。組立て後は、回転移動部の溝に作動ワイヤーを組込み、(a順の点検を行ない、連動具合を確かめること。

(f)最後に封印シールの標準抗力は3〜4kgであるが、シールの材質、シールの方法は各社により異なり、リン青銅線(0.2mm)、エナメル銅線(0.4mm)、合成樹脂製ピン等が用いられている。各メーカーの整備規程を参照して行うこと。

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