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時間の経過と共に電圧が著しく低下しないが、海水を媒体として化学反応により生じる電流を利用するものであるから、一度海水に浸漬すると、海水から引揚げても反応は進んでしまい使い捨てとなる。常時コンテナに収納されている時は多湿を防止する密封の構造が必要となる。整備に当っては外観上の点検のほか電圧計、絶縁抵抗計を用いた機能(電圧は10m以下、絶縁抵抗は100 MΩ以上)の確認が必要であり、計測の時期は前回検査時から2.5年以内に行なう。また有効期限は製造後5年以内であることが定められている。

(3)コンテナ
 折りたたんだいかだの現境保護と小容量化のためのケースであり、強化プラスチック(FRP)で出来ている。一般には円筒型で外径には構成上の補強および作動落下の際ガイドの目的を兼ねたリブが付けてある。外表面は蓄熱し難い白色のゲルコート層を要している。
 ケースは上下二つに分れ、嵌合部にはパッキングを備えて内部への浸水を防いでいる。また最下部には排水孔が設けてある。

(4)安全弁

 昭和54年10月以降製造するいかだ(除く乙種・第二種タンカー)は、寒冷地におけるいかだの膨脹性能を向上させるため、従来の液化炭酸ガス量を約1.5倍に増加し、また窒素ガスを混合充填するなどの改善がなされた。そのため酷暑時にあってはガス量が過剰となり、気室内圧は必要以上に昇圧して、気室を破損する恐れがあるので、安全弁の取り付けが必要となった。
 安全弁の標準作動圧力は、主に140±20mmHgの空気圧力で開閉するよう設計されている。
 安全弁の構造および機能は、図6に示す通りである

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(5)ガス充気装置

 ガス充気装置は、いかだを構成する部品のうちで最も重要な機能部分であり、図7に示す通りガスボンベ、カット装竈、連結金具、不還弁等から成る。メーカーによっては多少構造が異なるが機能は同じである。
 有事の際、コンテナが割れていかだが瞬時に展張するのはこのガス装置が正常に作動したことにほかならない。以下各部品毎の構造並びに機能等を述べる。

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