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11.4 溶接技量工

鋼船の船体、ボイラ、その他の圧力容器、又は機関の部分を接合するのに、 電気溶接、ガス溶接等の使用は不可欠である。しかし、これらの溶接による接合部の検査法に簡易なものがないことと、もし、この部分に欠陥があったときの災害が、 極めて重大なものとなることが多いため、その安全性の確保については、溶接工の 技量の優秀さに期待せざるを得ない。このため溶接する材料の板や管の厚さと溶接 する姿勢に応じ、技量の種別を定め、これに応じて試験を行い、合格者でなければ 従事できないよう工事を制限されることとなっている。又合格者には証明書を 与えることとしている。(鋼船構造規則第483条)

この試験は、所轄の運輸局が執行する。日本海事協会でも、同じような試験を行い、証明書を交付しているが、その合格者は、所轄の運輸局の試験に合格したものとみなされる。

12. 船舶の安全法と他の法令との関係

船舶安全法に基づく検査の適用船は、移動性その他の特殊性により、施設の基準及び検査に関する規制(例えば、高圧ガス設備に関する高圧ガス取締法(昭和26年 法律第204号)ボイラに関する労働基準法(昭和22年法律第49条)、原子炉装置に 関する杉原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律 第166号)、電気工事に関する電気工事士法(昭和35年法律第139号)等)の適用から除外されており、現在は、船舶安全法一本にまとめられている。

船舶の安全に関係のある主要な法律その他海上の安全の確保に関係する法律には 次のようなものがある。

(1) 船舶法

船舶の特殊性に鑑み、経済的取引の安定を期するため登記登録の制度を 設け、国籍及び船籍の制度を規定しているのが船舶法である。船舶は この法に依って船籍を定めトン数を測度、登記し、管海官庁に備えつけた船舶原簿に登録して船舶国籍証書の交付を受け日本船舶となってはじめて、 日本船舶に与えられた権利義務の主体となることが出来るものである。

船舶安全法は、船舶の安全取締を目途としているものであって、 その目的とする処は正確に、独立のものであるが、船舶安全法の適用 される船舶は、原則として船舶法によって限定されている点で関連を 有するものである。

(2)船舶のトン数の測度に関する法律

船舶のトン数の測度に関する法律は、取引の対象となる船舶について、そのトン数を正確に、かっ、統一的に測度し公示する必要から測度の 基準を規定しているものであって、船舶安全法とは、その目的について 相互に独立しているが、船舶安全法に規定されている尺度としての 総トン数、船の長さは、特別に規定しない限り船舶のトン数の測度に 関する法律によって規定さ

 

 

 

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