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回り止めには色々の形状のものがあるが、ばね座金のように使用することによって座面を傷つけるもの、割ピンのように締付け角度に大きな制約を与えるものは避けるべきである。

3)ボルトの締付け環境

ボルトの締付け作業を行う環境はなるべく埃の少ない、恒温防塵環境で行うのが好ましいが、実際上の機関室内の作業環境は必ずしも良い環境にない場合が多い。したがってボルト締付け作業を行う場合、ボルトねじ部、接手合せ面および座面は締付け前に充分清浄な状態にしておくべきである。さもないと、ねじ部、合せ面に介在するごみ、ほこり、金属粉などによって適切な締付力が確保されなくなる場合が考えられる。

またハズミ車取付ボルトなど機関外部に用いられるボルトで海水などがかかる可能性のあるボルトの場合、発錆、電触などに充分注意すると共に高張カボルトにたまに経験される遅れ破壊に対しても充分注意をはらう必要がある。遅れ破壊とはボルトを締付けてから、或る時問経過後に突然ボルトが脆性破壊する現象をいう。この遅れ破壊を起こす原因として金属またはその雰囲気に介在する水素が原因と見なされ、一名、水素脆性とも称されている。この遅れ破壊は一般に高張力合金鋼を使用した高張カボルト程多く発生するといわれているので、水などのかかる可能性のある部品には高張力合金ボルトは避けるべきである。

 

 

 

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