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したがって、このような不具合現象を抑えるため、ピストンの解放・整備は、汚損状況と維持費等を勘案して、適切なインターバルを決めて、実施するのが合理的である。

(5)主軸受けメタルとクランクピンメタル
これらのメタルはゴミを嫌う。特にケルメットメタルやアルミメタルはこの傾向が強い。クランクピンメタルはピストン抜きの際に点検できる。主軸受けメタルは、メーカーの指定する耐用時間がメンテナンスインターバルの上限となる。
しかし、個々の使用条件によって、メタルのオーバーレイの摩耗、ヘヤークラックの発生等の状況は異なることから、それぞれ機関の傾向を把握するまでの間は、機関解放時に合わせて摺動面の定期的点検を行うべきである。

(6)シリンダライナ
ライナの内面は、ピストン抜きの度に点検と摩耗度の計測ができる。又、海水冷却方式のようなライナ外周の点検は、腐食、浸食に対する防錆と補修、Oリングの交換が目的であることから、インターバルは、腐食のすすみ具合とOリングの寿命によって決まる。実際は、これらを勘案して1年毎、2年毎といった区切りでピストン抜きに合わせて実施されるのが一般的である。

2.分解整備要領
分解整備に関する基本的な要領と一般的注意事項を次に示す。

2.1分解、組立時の注意事項

1)整備前の注意事項
作業開始前に機関の取扱説明書、整備解説書に十分目を通しておく。
各機器の電源回路をすべて開とすること。
機関が突然回り出すことのないよう、完全に処置する。
重要なボルトナット、その他必要箇所に合いマークを付ける。
分解した部品の整理台および場所を予め決めておく。
必要な工具および部品、消耗品を用意する。

2)分解時の注意事項
作業内容(工事計画)を全員に周知徹底するため、整備工事計画表を作業従事者に配布する。
機関の分解にあたっては適正な工具を用いて正しい方法で分解を行う。
分解した部品の整理を徹底する。
分解の過程で当初予想されなかった異常箇所が発見された場合は、その状況を正確に記録し、ユーザーとも相談の上、処置方針を決める。なお損傷部品は一時的に保管しておく。

 

 

 

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