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オ順で、お名前だけ先ずご紹介します。
 遠藤孝さん、尾上林さん、近藤庸子さん、山口茂一さん。では体験発表に移りましょう。
 まず最初に徳島の遠藤孝さんの「何よりも聞こえの確保を」からお願いします。皆さんご存じのように、徳島の協会長さんですが、ご自分でも人工内耳の手術を受けられ音を取り戻されました。そしてループの問題、新しい補聴器や補聴システムの間題につきまして地元で次々に新しいイベントを試みられお忙しくご活躍です。遠藤さんよろしくお願いします。

遠藤/徳島の遠藤です。私は耳がまあまあ聞こえるようになったんですが、世の中というものはうまいこといかないもので、私の耳がちょっぴりアップなったのと引きかえに、おふくろがバタンと倒れてしまいまして、それ以来毎日が戦争でして、こんな所へ出てくるような状態ではないんですが、しかし、補聴器問題は重要なので無理を押してお願いしました。そんな訳で肩がこって、昨日はそこで胃が痛くて、その上喉が痛くて困ってしまったわけなんです。今、中島さんが肩操んでくれたんですが、やうぱり肩が痛いので、皆様と一緒にちょっと30秒間体操をしたい。背伸びの体操。背伸びを3回して、ともにリラックスして、今日の集いをよきものにしたい。では一緒に。1回、2回、3回、ありがとう。後は早口でやるから。
 「何よりも聞こえの確保を!」ということで、先ず、補聴システムとしては、文字表示、人工内耳、補聴器が考えられますね。これを助けるものとして補聴援助システムというのがあるんです。その中でも磁気誘導ループ、ワイヤード補聴装置、FM補聴装置、赤外線補聴装置が、とりわけ大切になってきております。このようなことについてお話したい。
 私に与えられたテーマは「年配者、高齢者にとっての人工内耳」です。年老いてもできるかぎり自立し、自由に生きていきたいとは誰しも願うところです。コミュニケーションというものは人間が生きていく上での最大の武器であると考えるから、少しでもよく聞こえるようにすることが一番
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大切であろうと私は考えます。その意味において、まず第一には補聴器を使えるように最大限の努力をすることだと思います。しかし、どうしても補聴器では聞こえなくなった場合、年配者といえども人工内耳に躍踏すべきではないと思います。多分、日本では最高の年齢と恩いますが、86歳もの方が検査を受けまして、手術は可能であると聞いております。この方は私にドクターを紹介してくれと言われ、私がドクターを紹介した方です。86歳でも、「耳が聞こえるようになりたい」と言っております。
 さて私は、昭和15年12月生まれで、現在55歳です。間もなく56歳。慢性中耳炎が一番元の原因で、昭和51年に36歳で、完全に聞こえなくなりました。18年後の昨年、つまり平成7年2月に、大津赤十字病院で人工内耳の手術をいたしました。特種な目的のために中耳根本手術をしていて、条件の悪い方の耳である左耳に敢えて手術したためか、聞こえに関係する22本の電極の内、わずか15本しか使えておりませんが、しかし、幸いにもほかの方々と同じ位は聞こえていると思います。
 手術前は強力型の補聴器を使っていましても言葉は全く分からず、実は車の運転免許なんかをとるために警察庁なんかと争ったことがここに入ってきたきっかけでした。前の後藤田官房長官さんに「ゆるしてくれ」と言われたんで難聴者運動に入りました。どれだけ頑張ってみても、筆談だけでは誤解ばかりの泣きたいような18年間でした。自分には役立たないのに、どういうわけか、寝ても覚めてもいつも考え続けてきた磁気ループなどの補聴援助システムの活用によるところが大きい

 

 

 

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