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(11)伝統文化を現代に活かし、次世代へ継承する
 日本財団では設立以来、教育や文化の振興を行ってきたが、1995年より、伝統文化に対する支援にも力を注いでいる。
 1997年には、日本太鼓の普及と振興を図るため、3億円の基本財産を拠出し、(財)日本太鼓連盟の設立に支援をした。同連盟が1979年に任意団体として発足した当時には110団体であった会員数は、2002年度では785団体を数え、支部を全国37カ所に広げるなど、近年の太鼓ブームの一翼を担っている。こうした躍進を受け、2000年度には太鼓ファンド(1億円)を設置し、海外における日本太鼓の普及にも取り組んでいる。
 一方、1998年には新学習指導要領が発表され、中学校で2002年度から音楽の授業に和楽器が取り入れられることになった。西洋音楽中心の音楽教育が大きな転換期を迎えるにあたり、子供たちが邦楽と良い出会いをするために、2000年度から教師に対する和楽器授業の研修プログラムを積極的に支援している。
 2001年には、柳宗悦によって集められた国内外の民藝品を展示する日本民藝館の改修に3,000万円を助成した。無名の職人の手によって作られた庶民が使う日用生活品の中に真実の美を見出し、それを民藝品と名づけて守り育てようとした柳氏の活動拠点となった日本民藝館は、日本の伝統的な生活文化を今に語り伝える存在である。
 また、2001年には能楽シテ五流派の一つである金剛流の活動拠点となる能楽堂の建設に3億円を支援した。能楽は、世界遺産にも登録される600年の歴史を持つ日本の代表的な文化である。五流派のうち、唯一京都を本拠地とする金剛能楽堂への支援を通じて、日本の能楽がこれからも豊かに継承されていくことを願っている。
 
ボランティア団体への寄付を行うチャリティコンサートも盛況
 
日本民藝館の内部
単なる陳列場ではなく物の美しさが活きるよう配慮
(12)自己実現する力を身につけるため
  〜不登校問題への対応
 文部科学省発表の学校基本調査(2000年)によれば、全国の不登校生は13万4,000人にのぼり、今後も増える傾向が見られる。
 日本財団では、子供たちの豊かな感性を育む活動の一環として、不登校問題への対応を重視し、子供たちを取り巻く問題やさまざまな対応策を社会に提起していくことをめざして、不登校児童への教育機会の提供や先駆的なモデルケースとなり得る活動を1999年から支援している。
 (学)希望学園(岡山県)が運営する不登校児童を対象とした「吉備高原のびのび小学校」は、「生活と学習の統合」を基本理念に、全寮制で学年や教科の枠にとらわれない教育を実践する学校である。入学生の半数近くが長期にわたる不登校状態だったため、同校を卒業しても進学できる中学校が少なく、再び不登校状態に陥る場合が多いという問題を抱えていたことから、小中一貫教育を行うための「吉備高原希望中学校」の校舎・寄宿舎の建設費用1億8,060万円を支援し、2000年5月、同校が完成した。
 また、2001年には(学)生野学園(兵庫県)の「生野学園中学校」校舎・寄宿舎等の建設費用7,710万円、(学)白根開善学校(群馬県)の「白根開善中等部」寄宿舎の建設費用5,660万円を支援した。両校とも不登校生の受け入れを行っている学校である。
 13万4,000人を超える不登校生への対応はもちろん重要であるが、学校に行けないだけでなく、そのまま社会にも出られなくなってしまう元不登校生が増加していることから、(社)日本青少年育成協会が、2000年度より「不登校生の進路と社会参加のネットワークづくり」というテーマで実施している、社会参加のための受け入れ先の調査、ネットワークづくりのためのシンポジウム、社会参加希望者の相談会と研修も支援している。
 
岡山県御津郡に完成した吉備高原希望中学校校舎・寄宿舎
(13)次代を担う科学研究の奨励と中国との学術交流
 科学の進歩は社会の発展に大きな貢献を果たしてきた。科学の担うべき役割は依然として大きく、従来の研究、技術の進展のみならず、新しい発想に基づく萌芽的な研究が必要とされている。
 このため、日本財団では1988年より、(財)日本科学協会が行う科学研究助成を支援している。
 意欲に満ち、優れた研究に取り組むものの、他からの助成を受け難い若手研究者の育成のため、その研究に対して助成を行うもので、2001年までに3,500人に対し、およそ21億円の支援をしている。
 さらに2001年からは、助成を受けた研究者が、海外の成果発表の場へ出席することを支援し、研究者の研鑚と学術成果の広範な浸透・普及を奨励している。
 また、1999年より同協会が着手した「教育・研究図書有効活用プロジェクト」は、学術振興の面での国際協力として、日本の大学・研究機関・企業の図書館や出版社などから提供を受けた日本語の教育・研究図書を、内容と分野別に整理し、希望する中国の大学や研究機関に寄贈している。2002年5月までに30万1,029冊の図書を、中国の10大学を中心に寄贈し、教育・学術研究の充実ならびに発展に寄与するとともに、相互の理解と友好親善を深めることに貢献している。
 
上海交通大学での図書寄贈式
(14)潜在的ニーズに対応した、民間で行う犯罪被害者への支援活動
 日本財団の犯罪被害者支援に関する事業は、1997年の(財)犯罪被害救援基金への助成に始まる。各地域に、精神的被害の回復のためのカウンセリングや相談を行う民間被害者支援団体を立ち上げ、相談ボランティアの研修会の開催や広報活動などに、積極的な支援を行った。その結果、全国5カ所で年間2,589件の相談を得て、犯罪被害者のニーズが予想以上に高いことが分かった。
 当時は、日本被害者学会による指摘をもとに、警察庁が「被害者対策要綱」を策定し、各県の警察が、女性犯罪被害者対策に取り組み始めるなど、犯罪被害者支援に対する問題点や対策、課題などが具体的に浮き彫りとなってきた時期であった。
 特に、日本では犯罪被害者の相談活動を行う民間団体やボランティアが少ないことから、早急に運営体制を確立し、相談できる組織の拡大が求められていた。
 本財団では、その後も積極的な支援を継続し、2002年までに民間相談室の設置や既存相談室の体制強化、パンフレット作成といった広報活動を中心に、23カ所の相談室の立ち上げを支援した。これにより、全国では30カ所の相談室が運営されることになった。犯罪被害者からの相談は、毎年3,500件程度にまで拡大している。
 また、犯罪被害者やその家族に対し、弁護士に相談したり、相手方の告訴を頼んだりするときに必要な資金を提供する制度をつくるため、2001年度からは、(財)法律扶助協会への支援も開始した。
 
「被害者支援都民センター」が開催した被害者支援セミナー



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