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第3部 「道州制を見つめて」をテーマに座談会
<司会>
 ここからの進行をコーディネーターであります北海道IBD会長 萩原英司 様にお願いをいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 
萩原:皆さん、お疲れ様です。高添先生の迫力ある講演と、ステキなダンスの後で一息ついて眠くなっちゃうかもしれない。皆さん眠くならないぐらいこの話聞いたら語り手の中から拾い出せればいいなと思っています。トイレは無理しないでご自由に動いていただければと思います。
 これから九州各県の患者会の方々からいろんな話を伺いたいと思っています。北海道から見ると九州というのは一つだと思っていたんですが、どうも違うらしいと。よく言えば各県特色がある、悪く言えばバラバラっぽいような所もある。そういうふうにも感じていまして、これから一言ずつもらおうと思っています。
 最初に各県の患者会の方から自己紹介と自分の会の紹介、患者会に関わりながら大切に思うこと、悩んだり、という事を一言ずつお願いします。それではホスト県の中山会長からお願いします。
 
 
熊本:「道州制を見据えて」の意味は、九州は一つという思いで何かできるんじゃないかと提案をさせて頂くつもりでつけました。結婚、就職、就学という場合、よほどの大企業でない限り九州の中での暮らしとなるし、加えて病気があるので病院から離れられない。自分が他県に行ったとき病院などのことがわからない、そういうのをネットワークの中で構築できて情報が共有できたらいいなと思います。
 患者会としては7年目になります。当初クローンだけの会で2年間、その後潰瘍性大腸炎も含めて熊本IBDという名前に変えての現在です。会員数は約70名、年会費が3年間未納が続くと除名となります。活動としては会でやった事、感じた事を3、4ページですが毎月新聞を出しています。若い患者が多いIBDなので難病連では率先して活躍したいと思っています。
北海道:ありがとうございました。毎月ニュースを発行するのは大変です。毎月ニュースが届く会員さんは幸せですね。他の病気の方へのボランティアが位置づいているのは良い事だと思います。
福岡:福岡IBDの会長をしています古屋と申します。設立が病院主導で設立し9年目になりますが2年後に自主運営なった。そのとき、何をやればいいのか悩んだが、とにかく患者同士で対話しようという事でやってきた。まだ外と話すことより自分達の中で交流をすることが大事と思ってきました。会を続けているといろんな事があります、自分の中で悶々とする事を皆さんに聞きながらやって行こうと、運営の事などもご相談しようと今日来ました。北海道のIBD、沖縄のIBDの活動状況など聞きまして、自分達の活動とは違っているので驚きました。これから自分達でやれること、やらなくてはならない事がわかった。
 病気が分かった時には何も出来ないと思っていたが、患者会の設立以降、自分は入院せずに普通に生活が出来ています。病気を持った中でもいろんな事ができるんです。出来ない事ではなく、何が出来るかを考えるようになったのは患者会のおかげです。自分の病気が良くなった事は患者会のおかげだと感謝しています。少しモチベーションを上げて病気と前向きにやってきました。
北海道:こういう本音の話が聞ければいいな。明るい話ばかりでなく、悩ましい話もあると思いますがぜひ語ってください。
長崎:長崎の小峰です。会の名は、蝶々婦人と腸をかけて名前を付けました。最初、食事の事が気になるな。と思いながら交流会をしながら皆さんに聞くと、食事が・・・という話になるので交流会の内容を決めていくなかでも食事ばかり。2月の調理実習のあとも定例会は食事会。残りの年2回定例会も何かをやって食事会。もう少し違う事をしたいと思いながら、このままでいいのか、とも思っている。役員も同じなので案もなく、変化もない。これで7年ほどやってきました。
北海道:我々患者にとって悩ましいのはまず食事、いいドクターとの出会い。そこの二つをきちんと出来ればあとは自分がどう管理するかです。
佐賀:佐賀IBD縁笑会の黒木 司です。佐賀IBD縁笑会の名の由来は、縁を大切にして笑いが絶えないように交流会の中で、皆で決めました。6月18日に設立し会員は15名。これから何でも出来るというのがいいところです。佐賀難病相談センターの三原さんと一緒にやっていきたい。交流会とその後の情報交換会が主な活動。福祉・行政とも一緒にやっていきたいと思う。唐津が市内から遠いので、市議と相談して患者会支部を作りたいと思っている。
北海道:生まれたて。自由度が高いということですから、プラスの一歩になります。
大分:大分から参りました石田です。会長の代理で来ました。平成12年で7年目です。会員はUCとCDで70名です。会長はなり手が少ないが、会長はCDです。会報は1〜2回。交流会は3〜4回で先生を囲んでやっています。最近、日赤の先生に顧問になってもらっています。かかりつけ医に聞きにくい事も聞いています。会員同士困っている事、食事、ライフサイクルなどを話したりするようにしています。
北海道:主治医に聞けないことを聞く会というのはいいですね。違う先生の話を聞くというのも客観的に自分とドクターの関係を見ることが出来プラスの部分があるんではないでしょうか。
宮崎:IBD宮崎友の会の事務局長をやっています長倉です。IBD宮崎友の会は、昭和61年、宮崎大学病院医学部の1内科の先生が病院ではフォロー出来ない事を患者会としてやろうという事で福岡IBDを立ち上げられた先生が宮崎で立ち上げられました。福岡に転勤されたのを機に独立して10年。設立して20年になります。昨年度末に主要な役員が辞めてしまい解散しようかと思ったが、熊本IBDと一緒にやっていけないかという提案があり、この後に設立総会をする事になっています。会員は6月に再設立の案内を出した。正会員が家族と家族50名。賛助会員10名。戻ってきてくれた。熊本と一緒にどうやっていこうか暗中模索。年に2回会報発行、イベントをやっていた。役員不足が深刻。これからどういう風にやっていくか皆さんのお話を聞きながらやっていこうと思います。
司会:病院で出来ないことをフォローしようと患者会のスタートだとすれば今でもその精神はあるんではないでしょうか。病院、先生方、地域社会、行政、いろんなところが病気について理解し始めていると思います。これからの活動をどう作り上げていくか佐賀と同じように白紙からのスタートかもしれませんね。
鹿児島:岡部と申します、よろしくお願いします。鹿児島の会もやっていますが、今回参加できないという事で個人での参加です。熊本IBDでホームページを作っています。そういうことでいろいろ協力できたらと思っています。
沖縄:沖縄の照喜名です。事務局長です。沖縄は平成元年に作って20年くらいになります。ホームページはほぼ毎日更新、定例会は月二回やってます。年に一度、調理実習やボーリングをやっています。新しい患者さんがこられた時に注意をお願いしている。それはIBDなので、クローンと潰瘍性大腸炎、両方いますので区別して受け取って聞くようにということ。患者の意見は医療行為ではないので体験談として聞く様にということ。定例会で話した事を他言する事のないように行っている。政治・宗教・健康食品の勧誘をしないようにお願いしている。メリットとしていろんな病院の患者が集まるので、医師の特徴や、発見があり情報を知る事ができる。情報を知るという事が自分のためにもなる。個人的にはエレンタールを飲んでいますが、入院できなかったので今プレドニンを飲んで活動しています。
北海道:月二回の定例会は患者さんにいいことですね。事務局は大変だと思います。月二回の定例会はどうやって、実現できているのかな?お知らせしているのかなと思いまして。
沖縄:お知らせは定例会の案内を新聞の無料ペーパーに載せてもらっています。場所は那覇の南部の域と、中部域の定例会をやっています。参加者はそれぞれの地域です。
熊本:皆さん、患者さんに患者会の活動の案内をどの範囲まで案内しているのですか?
北海道:会報を年4回発行している。全保健所に配布、先生に配った分を病院においてあるところもある。札幌市と北海道の広報には行政が載せてくれない。新聞に投稿して載ったらラッキーかなと思ってやっています。
福岡:福岡は広報に載せてもらえる。北九州がスタートで後に福岡を作ったので、北九州の方は載せていません。参加が多くてどうにもならない事があるので・・・当初は新聞に載せてやっていた。
長崎:私の活動していく上で余裕があったころは病院、市役所、広報に載せてもらっていた。載せるための締め切りがぎりぎりに決まって間に合わず載せられなくなった。
佐賀:患者会で登録してらっしゃる方、支援センターで把握している方、保健所とかは役員がもっていく。個人的に病院内で知り合いに渡してもらっている。
大分:患者に配布。大分市の保健所が配布してくれている。難病連にも渡している?ゆくゆくは県内の他の市にも配布したいとは思っている。
宮崎:他の患者会と同様で会員さん、病院、保健所。余裕があったころは新聞社にも出していた。
熊本:岡部さんはホームページを10年位やっておられるアクセス数あたりを聞きたい。
鹿児島:岡部さんのHPのトータルのアクセス数は37万アクセス。クローンは5万位のアクセス。
沖縄:月2回は新聞社。ボーリングなどのイベントは往復はがきを出している。返却率は4、5割。
北海道:岡部さんに伺いたいですが、WEBでの情報はいろいろあると思うが見極め方は?
岡部:難しいが、似た情報が出ていると間違いないなという感じ。大本の出所が同じだと共通している。共通しているのは信頼できるのでは?
福岡:患者会でイベントをすると思うが、参加率がよいイベントは?
北海道:昔は何人来た、ということを評価の軸にしていた。今は入院しないで病名がつく人が多くなってきた。深刻に捕らえてもいけないが楽観過ぎてもいけない伝えるほうも難しい。最近は顔を会わせて話しが出来る機会を作ることが大事かなと思っています。結果的に3人しかこなくてもそれで良いと思っています。子どもだけの会、親だけの会をやっている。10時から16時まで何時に来ても帰ってもよく、満足できれば数でなくてもいいと思っている。
 
北海道:さて、ここで受給者証の話をします。先程各県の受給者証を見比べてみたら違うんです。現物を見ていただきます。
熊本→病院が2箇所しか書かれない。
宮崎→書く欄は5箇所だが申請すれば何箇所でもいい。
福岡→優れているんですよ、病院の欄がない。県内はどこでも受診できる
長崎→A4サイズ。宮崎と同じで書くのは5箇所、申請は何箇所でもいい。更新時、保健所に渡すのでコピーをとる。
受給者証が一定期間コピーになる県→熊本・沖縄・宮崎
福岡→そのまま持っていて、新しいものが着たら交換する。
宮崎→期限切れしたら使えないのでそのまま持っている、特に返還しなくてもよい。
佐賀→私が熊本の受給者証いるので受給者証は長期間かかっていれば口頭で更新中といえば受診できる。
大分→申請時は原本は本人が自分で持っている。更新は1年おき。
鹿児島→県に出す書類にコピーを出せば、原本は自分で保管。
沖縄→原本を保健所に渡す。特定疾患の場合は申請中ですといえば受診できる。患者の中では、受給者証を出すと再度もらえないのではなかという不安がある。
 
熊本:北海道は九州より多くて支部が多くある。支部との繋がり、九州という枠から見てお手本になるものはあるか?
北海道:スライドを使います。患者会に入って何があるか?3つあるんですね。自分の病気、自分の身体が正しく分かる。医療情報、比較情報が手に入る。病気に負けない心になる。社会貢献という意味で仲間と連帯する力で医療環境の改善が図れる。例えば医薬品を出す時に患者の声が通る事もある。
 大きさでいくと北海道の方が大きい。移動時間行くと鹿児島−福岡までを考えるとうらやましい。札幌−函館間は特急で4時間。札幌−釧路間は5時間位かかります。
 私が手元の情報での資料だと設立は沖縄が一番古い?宮崎の方が古いですね。規模の大きさでいくと、北海道が今535人という規模、会費が高いのは大阪IBDですね、6000円です。けれど電話帳みたいな厚さの会報が年に1度出ます。私の印象だと九州の会は会費が安すぎる気がします。こんな会費だったらどんなサービスが出来るのかな?と思います。
 1993年にIBD会館といってアパートの部屋を無料で貸してくれ、会員が常駐できるので、毎週木曜にボランティアで相談電話を受けるようになった。ここからと、札幌厚生病院が生き生きライフという本No.2を出したところから北海道IBDに販売を委託してくれた。ホームページを出してから会員が増えた。
 本部と支部の役割は、本部は三役と札幌近郊の役員で会員庶務やっています。機関紙の発行。支部は支部長と事務局長と何人か役員がいて独自の企画をやっています。こまやかな対応をやっている。支部でニュース出していたり、ホームページもやっている所もある。
 北海道IBDの会員ですね544人中、道外会員が89人、イベントには参加出来ないです事実上。年4回の会報で会費を3600円払って下さっています。最近札幌が増えています。
 うちの収入は会費収入が大きいのと、商品販売収入、IBDの人が安心して食べられる食品の斡旋をしていて差額分の若干の収入があります。支出で機関紙費、どんなに苦しくなっても削らないと思っています。あと研修会費、役員の研修です。年に1回全役員を札幌に集めて1泊で研修をします。
 九州は各県特徴のあることをやられているので、良さは良さとして残しながら、もっと会員さんとのサービス関係でやっていく事も可能性としてあるのではないでしょうか。
熊本:最期に今の萩原さんのも含めて感想をお願いしたいと思います。
福岡:すすめている事と出来てない事を、もし他県の中で出来る事が出来れば、会の運営がやりたい事になるのかなと思った。楽しくなるかなと思いました。
長崎:会の交流会もサービスなんだと思いました。自分たちも楽しめるようにもっていけたらと思います。
佐賀:出来たばかりなので、先輩方の話を聞く事で指針になった。きちんと系統立てて組織化する事が大切なんだと思った。
大分:会報の事で悩む事もあるが、情報の共有化も大事だと思った。全九州で一つまとめになればコスト的にも安くなるのかなと思ったし、全九州で一つの雑誌を作ったりすればより良い密度が濃い情報が流せるのではと思った。
宮崎:大きなイベントの企画は中山会長に任せて、宮崎は地域に根ざした小さなイベントをやっていこうかなと思いました。
鹿児島:いい経験になりました。情報発信やホームページに役立てたいと思いました。
沖縄:基本的には患者さんのため、あきらめないで夢を持ちポジティブにやっていけば明るい生活が出来るのではないかと思っている。
熊本:仕事をしながら患者会をやっている。もっとやりたい事が沢山あるが物理的に無理。仲間を増やす事はとても大事だと思った。手伝ってもらえる時ありがとうと言える関係が大事。皆さんに一同に会して元気を頂いた。今日をきっかけに九州をよく見て、盛り立てていければいいなと思います。早く北海道に追いつきたいなと思います。
北海道:会員さんは会費を払っているので、どう使ったか報告する事が前提。患者会はすごく丁寧に色々な事を配慮しながら運営しているということを今日伝わったらと思います。もう一歩皆さんが前に出ると、それがグルグル回っていく、いろいろ出来ていく。背中を押してくれる、独りぼっちにしない関係が患者会の中にはきっとあると思いますので、いい関係を作って患者会という形に関わっていただけたら九州でもいい事ができていくと感じました。皆さんに得るものがあったらよかったなと思いました。
 
 皆さんありがとうございました。これで終了といたします。
 
 
左から、沖縄IBD 照喜名さん、鹿児島県 岡部さん、IBD宮崎友の会 長倉さん、熊本IBD 中山さん、大分IBD友の会 石田さん、佐賀IBD縁笑会 黒木さん、チョウチョウ会 小峰さん、福岡IBD 古屋さん、北海道IBD 萩原さん 以上9名


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