第2部 「九州のネットワークの今後について」シンポジウム
陶山:それではシンポジウムを開催させて頂きます。開設したばかりの県やこれからという県もありますので、いきなり振られるのも大変でしょうから慣れた方、まず就労支援にすごく力を入れてまるで企業じゃないかと思われるような沖縄から何かアドバイスをお願いします。
照喜名:私たちはまずオープニングセレモニーを各新聞社・マスコミやったんですが、その夜にアルコール依存症で難病だからって言う方が酔っ払って3回電話があって、もう1人は同業者というかカウンセラーの資格をアメリカ行って勉強してきた方から電話あって、「おたくは相談員だけど、どんな資格を持っているのか?経験はどうなのか?」という事のやっかみというかそういう電話があって凄く悩みました。それで三原さんもやったと思うんですけど、いのちの電話養成講座のカリキュラムを1年間受けて、それで傾聴するとか、相談のノウハウ、ピアカウンセリング、サポーター的なものを技術向上するとか、あと全国難病センター研究会が年2回ありますので、そこで神経難病の先生とかの講演とか色々な運営とか聞けるので、ぜひこれは参加していったほうがいいかなと思います。
陶山:三原さんと照喜名さん2人とも当事者ですけれど、当事者であり、看護師であるという宮崎の三浦さんいかがでしょうか?やがて1年経とうとしていますけれど、この1年を振り返って次の長崎、大分にアドバイスするとしたらどんな事でしょうか?
三浦:アドバイスと言ってもあれなんですけど、9月に立上がり4月には相談員が抜けてしまって現在3人なんです。発表で三原さんがおっしゃったように連携先の開拓という所ですね。会長と一緒に私達も開所当時はかなり挨拶回りをさせて頂きました。その挨拶をした所に顔つなぎが出来ていますと連携がし易いというところがあります。少しずつ開拓先が広がってきているのでそこが一番大事じゃないかなと思います。それともう一つ、私たちのところは非常勤3人で回していますのでその話し合いの場が中々持てないという事、それから県から委託を受けていますが、もう作ってあげたんだからあとは任せたよという状態で、センターの私達はどこに頼ればいいの?誰を運営委員にすればいいの?本当に初歩的なところですよね。だから最初に運営委員会がしっかり立上がっていると後の進み方も違うんじゃないかと今切実に思っております。
陶山:ありがとうございました。開所してまだ1月も経っていない福岡はいかがでしょうか?まだバタバタして大変な状態だと思いますけども。
大道:福岡も相談はかなり多くあっているんですけども、私も佐賀と同じよう連携機関が必要だと思います。また患者・家族の会とかそういうところが情報は沢山持っているので、そういうところにまず私は相談をします。私が相談者で患者さんに接する時に気を付けていることは知ったかぶりをしないという事ですね。まずは新しい相談員ですので判らない事は調べますのでお時間を下さいという形で返答する。調べて折り返す形とか。そういう相談のあなたの力になりますよ。という形で返すと、すごくあなたに聞いてもらえて良かったです。という言葉が返ってくるので即答しないでですね。ゆっくり、じっくりやっていく事を私は心がけたいなと思うし、これから開設するという事であればそういうところに気を付けたらいいんじゃないかと思います。
陶山:ありがとうございました。大道さんの発表の中でお一人に30分から1時間位かかるとのことですけど、大道さん自身は当事者ではないんですよね?<はい当事者ではありません>どうしてセンターの相談員になろうと思われたのかちょっとそこをお聞きしたいです。
大道:私は元々医療ソーシャルワーカーでした。私的な事ですけれども、その病院を結婚と出産で退職し、子供が小さいので育てながら就職という活動をしまして、同じような医療機関のソーシャルワーカにこんな仕事があるよって紹介を受けて、じゃーやってみようかという事で入ったというのが経緯なんです。相談のベース、相談者のノウハウはちょっとわかるかなという様な感じかなというところでしょうか。
陶山:ありがとうございました。どうしてこんな質問をしたかと言うと、なんでも思いっていうのか、患者さんたちとかご家族の方にどうにか社会復帰して欲しいというような熱い思いみたいなものはなかなか当事者じゃないと伝わらない部分があると思うんですね。でも伝わってらっしゃるから多分30分も1時間もしゃべってらっしゃると思うんですね。そこが無いならそんなに長くは話せないので、大道さんもいい相談員になってらっしゃるんだなと思って聞いてたところです。それでは今から立上がろうといる、長崎、大分についてなんかもっとこういうところを聞きたいなと言うところがありましたらいかがでしょうか?では、鹿児島もやっと立上がろうとしていますがまだまだ課題は一杯あるかと思います。先程、今村さんの発表を聞いていて思ったのが“私は手を上げてなりました。”みたいな発言があったので、どうしてセンターと関わろうとなさったのか?そのあたりのその原因というか理由があればお話し頂けないでしょうか?
今村:私4年間現場で難病担当の保健師をしていまして、訪問の中で色んな声を聞いてきました。その中でやはり保健所単位だけでは解決し得ない事っていうのがあるなっていうのを感じました。その段階では県の特定疾患の担当のところには事務方しかいらっしゃらなかったので、やはり保健師がいかなきゃいけないんじゃないんだろうかと思ったのがありました。でも本当に県の大変さは分かっていましたので、かなり覚悟を決めていかなければいけないという事も分かっていました。で、乗ったのか乗らされたのか分かりませんけれども行ったというのが実情です。その中でさっき清藤さんが発表されたように清藤さんもその前から長年いろんな活動を自主的にやってこられたのを見ていましたので、何とかサポート出来ないかなっていうのを思っていました。センターについては先程も言いましたが厚生労働省の説明を受けて何とかウチの県でもできないかっていう事を上司に上げましたが財政再建団体になりそうなこの県で何が出来るんだっていうようなところから出発しました。ですからあの大分県さんになんですけど、私今回これを上に持っていく時に全国のを全部調べた時に、平成18年度までに44県は出来るだろうとの予測でした。これは長崎もしっかりとかなりの予算付いてましたので、ある面鹿児島県としては羨ましいなって思うぐらいなんですが、だったら発想の転換。あるものを利用してハード面から入るんじゃなくて、ソフト面からならなんとか連携っていうところに強化しながら出来ないだろうかっていうのを思いました。ですからさっき依存体質にならないようにと沖縄県さんも言われたんですけども、負け惜しみという事もあるんですが清藤さんが一生懸命自主的な活動を進めていらっしゃるのでそれをサポート出来たらいいのかなと。内輪のところを言いますけどウチの県が清藤さんの所に出せている運営費委託料と言うのは64万かそこらです。それで今までも活動していただいているんです。そこを日の目を当てさせるというかそういうところからかなって思ってるんです。先程新聞をお配りしましたけど、ちょっと月曜日が怖いなって思ってるんです。ここのところに健康増進課を改装し専従職員を配置と書いてあるんですが決して専従ではないんです。色んな業務をやってます。その前に6日の新聞に9日開設となった時に、マスコミの力は強いですね。これを見て本当に色んなご相談を受けました。特疾に入ってないニョウパシーの患者さんはそれこそ40分も50分も相談されます。ですけど、相談を受けながら、こういう相談を受ける場所っていうのが必要だよなっていうのと、私が相談を受ける事で周りの行政職員にも分かってもらいたいなっていうのがあります。ですから大分県にお伝えしたい事は、なかなか本当に最初からこうしようと思ったら出来ないので、あるものをどうやって利用したら出来ていくかと言う辺りから考えていけたらいいかなと思います。
陶山:ありがとうございました。保健師の鏡のような方だと思っていますけれども、本当にこんな保健師さんばっかりだったら行政とのパイプってのは簡単に出来ると思います。行政の保健師さんが事務屋さんになっている。まあそうならざるを得ない状態もあるんですけども、そんなふうになってくと保健師さんは要らないよっていう事に。事務が上手な人の方がいいじゃないかという社会になってしまいますよね。保健師さんの持ってらっしゃる能力を発揮して欲しいなと思っています。それでは今の話をお聞きになって大分さん、長崎の方が早く立上がるんでしたかね、じゃあ長崎からお願いします。
前川:設立するとは聞いているんですけども、まだどんなふうに開設するか県もまだきっちり出してないんですね。指定管理者を公募している段階なのと、あと相談センターには福祉センターの2階を予定。設備は良さそうな感じです。今日ここに来るということで難病相談センターの設置要綱を今つくっているところのようです。県からは皆さんの話を良く聞いて、どんな風にしているかっていうのを資料を貰ってきなさいって言われて、今日の話を聞いててなるほどなって思ったんですけども、相談員としてのカウンセリングの能力と言うのは元々から皆さん備わっていたのかなっていうように皆さん良くお話を聞かれてカウンセリングされてるなって思いました。
陶山:じゃ大分さんお願いします。
上原:何の予定も無い大分県です。さっき県の方が言われたように私の立場から言わせて頂いたら皆さんの色んな活動を聞かせていただいて、やっぱり必要なものだっていうのを感じました。実際にここへ来させていただいて、色んな形で県のそれぞれの当事者がやってらっしゃるとか、それこそ自主運営できるだけの資金面のことまで考えてらっしゃる所、ソフト面だけでどうにか頑張ろうという所、それからすると大分県も財政難だから貧乏県なんでだそうです。ですから財政のところで調整が出来ないっていうように聞いています。ですから今回伺ってみてどっかのセンターのワンフロアを貰えるようなそういう形にもなれないだろうなと感じていますので、せめてやる気のある良い担当者を大分県は探して欲しいなと思います。それが鹿児島の方のように保健師さんである場合もあるかもしれませんし、当事者団体の方の中でずっとそれに携わってらっしゃる方でこの必要性を感じてらっしゃるような方がいらしたらそういう方がいて下さると、私の方はどうしても医療中心の相談を主にやっていますので、全体になってくると弱いんですね。ですから弱くても難病の方は先程も申し上げましたけど、医療だけで暮らしているんではありませんから、ほとんどは生活をしているのでそこら辺全般はお互いに話せたり、どういうふうにしたら病気を受入れるか、そういう段階も含めて取り組んでいけるような環境というのが大分県でも作れたらいいなと思います。私は難病医療連絡協議会って言うところに所属してるんですが、大分県もメンバーは全部医師だけです。保健所の代表の方も医師ですので、全て医師だけで構成されています。ですから難病の方の生活っていう辺りにはとても弱い部門ですので、でも難病医療というのは医師からすると診断はつくけれども治療に対しては限界があるので、医師としては、言葉、誤解を招くかもしれませんが非常に敗北感を持ちます。医者として治せない患者さんたちに、「ごめんなさい。治せない。」って言うこと。こうやったら暮らせるよっといった時に、必ず先生たちが最後におっしゃるのは友の会があるからここに今後の事は相談に行きなさいよっておっしゃったりするんですね。ですから難病を診てらっしゃる先生たちも当事者同士が情報交換出来るような場所っていうのは医師単独では欲しいと思ってらっしゃる先生もいらっしゃるのでそちらの方からも声を上げていただけるような事を考えようかなと思っています。

陶山:ありがとうございます。私が聞く限りにおいてしっかり全て分かってらっしゃる方が中心になっていらっしゃるので、多分大分も近く立上がるのではないかと思いました。でもそのためには当事者の中でやっぱり三原さんとか照喜名さんのような活動している方が大分にもいらっしゃると思うんですね。そういう方を発掘するっていう事が大切ではないかと。長崎にもいらっしゃると思います。私も10年ぐらい電話相談をやっていたのですが、ここのセンターの相談員になってもその延長みたいな感じなのでそんなに支障はないんですけれど、今まで無料奉仕でやっていたのが、日雇い労働者ですけど少し給料もらえるようになったという事は、前は動けばマイナスだったんですけども、そういう方多分いらっしゃると思うので探してみられるといいと思います。どうやって探すかというのは、患者会から聞いた方がいいと思います。例えば看護婦さん1人を雇いなさいって県が言ったとしたら、「なんか良い看護師さん、こういうセンター立ち上げる時に担当して下さるような看護師さん紹介して頂けないですか?」って患者会に聞いたらどうでしょうか。ウチは患者会から推薦して頂いた看護師さんに来ていただいているんですよ。看護師さんって給料いいですよね。それなのに本当に安い給料で働いてもらっているので申し訳ないんですけども、でも私は、私のしたい事はこれなんだっていう事でやってくださっています。じゃあまだなにか、どうぞ。
照喜名:すみません。ちょっと違った視点で見てですね。今回の難病患者からすればあの障害者福祉法はなってない。特定疾患の場合でも公費で医療費は免除してもらっていますがそれだけだったんですね。ところが平成15年から難病センターの予算を国が半分、県が半分っていう事になったのは、これはとてもここ近年にない画期的な事ではあるんですね。でもこれは大きく見たらアメとムチであると思うんですよ。今回、FOPとかHAMとか色んな患者会が特定疾患の認定入りを待っているんですね。そういった声が上がってきているんですが、あとは応能制度、特定疾患は平成10年までは無料だったのが1,000円負担とか、17年から所得に応じて負担になりましたよね。そういうタイミングでガス抜きっていうかそういった患者さんのですね、心の拠り所っていうかそういった駆け込み寺的なものを必要だと言ってるんですね。そういった時にそれがもう当たり前のように最近なってきて、大分さんがまだとかそんな話になっているんですが、これは改めて感謝しないといけないと思います。行政と市民と難病患者とか企業とかありますけども、あと行政マンですね。それがジャンケンポンといつも言っているんですが、ぐーちょきぱーです。役所が動かない時は議員さん、これを動かすと議員さんから市民という「患者さんがどれだけニーズがあるか」という事を聞いてきます。それで先程患者さんが頑張る人がいるって事がありますけど、今回、熊本はとても良い機会を作って熊本の患者さんにとって今回のフォーラムというのはすごく大切なことなんですね。他の県ではこういったことのノウハウは患者さんにはいかないです。こういった事があるっていう現実もですね。今度例えば大分とかでこういった患者会をやればニーズとしてはあるんだと、ウチだけなぜないんだと、予算を削減すると言っても難病とかこんな希少難病の人たちぐらいには払ってもいいんじゃないかと、言う世論が出てくると思うんですよ。その世論とか患者さんの力が議員さんを動かして議員さんが役所を動かすと・・・。予算もないとは言っても何を優先させるかという事だと思うんですよね。公共的にするのか何にするのかとかあると思うんで、その辺は戦略的には議員さんですけども、その前にはやっぱり先程の患者会、ニーズといったのが結束できるのかがポイントになってくると思います。

陶山:ありがとうございました。今までアドバイス的なこと、立上がるためにこんな事したらいというお話を聞きましたが、電話相談とかいわゆる相談業務だけではないと思うんですね。難病センターの大きな関わりの中でやっぱり相談だけではなくて最終的には生きていかなければいけないので就労問題なんていうのが一番のネックになってくると思うんです。佐賀では知事が素晴らしいのか、やり方が素晴らしいのか分かりませんけど、特定疾患の方を雇えば40万補助が出るとか・・・詳しい話をお願いします。
三原:佐賀県単独の事業でございまして、難治性疾患克服研究事業の対象疾患121疾患プラス関節リュウマチの方を対象にしてそういう方を受入れた企業に対して年間40万の雇用奨励金が出ています。ただその企業は佐賀県が誘致してきた企業ですね。で今ソフトの方に出されているものを製造業の方にも出していきたいというふうに新産業課のほうは言っております。NTTのテレホンコールセンターあの時のちょっと困った話ありましたよね。体験談があまり無かったから受け答えがなかなか難しかったという。練習、結局人とあまり話すことをしてなかたものだから。NTTマーケティングアクトという所と連携して行われてコールセンターの訓練があるんですが、そこで難病の患者さん達、障害をお持ちの方々がそういうところに沢山行かれたわけですね。そこで電話の応対の業務から、来られた方の対応からそういう事を学ばせて頂いてすごく良かったと。訓練を受けて良かったという声がですね、初めは疑心暗鬼でそれが就労につながるかどうかも分からない中での訓練だったんですが、それを受けて頂いた後、すごく自分がいい教育を受けられたので良かったという声が上がっております。
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