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会員だより
我が社のちょっと自慢
株式会社 間口 相撲部監督
吉川 幸生
 
 我が社は、社員間の親睦を図るため、クラブ活動が盛んに行われています。
 クラブは、平成3年にスキークラブ・テニスクラブ・相撲部が発足し、その後 空手・ハイキング(間歩会)カッター・剣道・茶華道・俳句・書道が増えて、現在では十クラブが活動をしております。
 これは我が社の社是である
『天の時は地の利に如かず 地の利は人の和に如かず』からくる、人の和を大切にしたいという主旨に則して、活動しています。
 今回は、その中でも私が在籍している相撲部を紹介させて頂きます。
 平成3年に相撲部が創部したのですが、創部までは浪速区にある武道館で、わんぱく相撲のちびっ子に相撲を教えていました。
 当時 私も若く現役の選手として、一度試合に出たいなと思っていたところ、相撲部が出来、創部と同時に対外試合に出場していました。
 すると、当社で相撲を取りたいという学生などが入社し、大学や高校の相撲部で活躍した者や中には元大相撲出身者も入部して、現在に至っては25名在籍しています。
 私たち相撲部は、仕事が終わってから、稽古をするのですが、部員はいろんな部署に勤務しており、稽古時間に合わす事が出来ない事業所の者、また残業等があってなかなか稽古に来られない者等がいます。
 稽古に来ても、道場に相撲部員が集まるのは、たいてい夜の7時頃になり、そこから稽古を始め、帰るのは夜10時とかなりハードです。しかし、元々相撲が好きで、集まっているもの達なので、それぞれ一生懸命がんばっております。試合前になるとさすがに、稽古にも熱が入ってきまして、四股・鉄砲・申し合い・ぶつかりと激しい稽古をして、時には体中傷だらけになったりしています。
 今では職場において、相撲部員として認識してもらっていますが、創部間もない頃は、稽古中、頭と頭でかまし合いなどをして、顔を腫らして翌日、職場にいきますと、「喧嘩でもしたんかと」言われ、白い目で見られていたことを覚えています。
 稽古は嘘をつかないとよく言われたものですが、まさにその通りで、よく稽古出来たときはそれなりに成績が残せますし、出来ないときはやっぱりだめで、結果は後からついてきます。
 稽古熱心な選手はやはり試合にいっても、実力が発揮でき成績も残しています。(過去の成績 参照)
 
 
プロに劣らぬ ちゃんこ隊の腕前
 角界で力士が食べる食事のことを称して、「ちゃんこ」と言います。代表例として「ちゃんこ鍋」が親しまれていますが、実は食事全般をちゃんこと言うのです。例えば、「今日のちゃんこ何に?」と言うと、「カレー」と言う事もあり、カレーもお相撲さんからすると、ちゃんこになるわけです。
 特に力士は体が資本なので、栄養満点の食事をとるため鍋料理にして、稽古が終わって腹一杯食べて、その後休息をとって身体を作ります。
 私も、学生時代体をつくるために練習後の食事を腹一杯食べて、おなかいっぱいになったら散歩をしておなかを減らして又食事をするという生活をしていました、結局一度の食事に2時間くらい掛けていたのです。当時は、食事する事も相撲の稽古だと教えられていました。
 ちょっと余談になりましたが、要するに、ちゃんこはお相撲さんが身体をつくるためには大変重要で、たくさん食べられるようにと味には創意工夫がされ、角界ではその部屋々々の独自のちゃんこの味があると聞いてます。
 我が相撲部屋は、元二子出部屋で活躍した部員が三名おりまして、彼らが作ったちゃんこは、さすがはプロの味で、特につみれのちゃんこは絶品で、その辺のちゃんこ料理屋にはひけをとりません。
 稽古が終わった後、作ってくれるわけですが、「部員が食べるだけではもったいない」と、当社のある出張所親睦会で「一度相撲部のちゃんこを食べてみては・・・」と紹介したところ、その懇親会は大盛況で、その後親睦会の評判を聞いた他の出張所においても是非ちゃんこをして欲しいと、関西圏の出張所は元より、関東にある出張所からも要請があり、今では二子山部屋OBの相馬君をリーダーとして、ちゃんこ隊と呼ばれ、毎月一回はいずれかの出張所で、ちゃんこを作っています。
 このちゃんこ隊は、当社の親睦会のみならず、その他に、地域の子ども会の催しや、身体障害者の施設・特別養護老人ホーム等にも、慰問に行き、ちゃんこだけではなく、稽古風景や相撲のコントである「初っ切り」「弓取り」と相撲の醍醐味全てを紹介しています。
 特に特別養護老人ホームに慰問に行った時には、おじいちゃんが私たちの相撲を見て、泣いて喜んで頂いた事が印象に残っています。
 また、ちゃんこ隊の慰問に行くだけではなく、道場にお招きして実際の稽古を見て、ちゃんこを味わっていただくこともあり、海外から日本に研修に来ている救助隊には、日本の伝統文化を感じてもらい、一方非行少年更正施設の子供達には、相撲の練習の激しさ厳しさ等体験をしてもらったりもしています。
 
 
新相撲ってご存知ですか?
 新相撲とは女性相撲のことですが、大相撲では女性は土俵に上げないという規律に加え、従来、女相撲には肌をあらわにまわしを締め、酒場の余興として見せるというイメージの悪さがありました。
 しかしながら「新相撲」と呼ばれる競技として生まれ変わり、軽量級・中量級・重量級・無差別級と4階級の体重別で競技し、今年は11年目を迎えております。
 我ら相撲部には、女性部員が2名在籍し、本年の第十一回新相撲選手権大会には、軽量級で金沢が4位、無差別級で築比地が優勝を飾りました。
 無差別級で優勝した築比地は、十一年連続優勝しており現在のところ日本では負け無しの11連覇を果たし、世界大会においても、ポーランドで開かれた第2回世界新相撲選手権大会で、個人優勝を果たし、新相撲界の横綱と輝いています。
 
築比地さん
 
 マスコミ等の取材も多く、読売テレビ等、過去数十回テレビやラジオ等に出演し、当社の相撲部のみならず新相撲そのものの広告塔になっています。
 一方金沢も、普段は相撲の選手とわからないほどの小柄ながら、軽量級(50キロ未満)で第2回新相撲選手権大会に優勝した実力を持っており、20歳の時にはNHKの青春メッセージに出演し、相撲のすばらしさを紹介したこともありました。
 あまりにも、女子部員が活躍しているので、『間口相撲部に男性部員がいるんですか?』なんて聞かれたこともあります。
 以上のように、相撲部の活動を紹介しましたが、部員が活動できるのは、他の社員の協力のたまものです。特に世界相撲選手権大会出場や国民体育大会相撲競技に出場するには、選手が数日間勤務を休まなければなりません。休んでいる間、相撲部員の日常勤務を、快く他の社員が引き継いで、「がんばってこい」「後はやっておくから」と温かい声をかけてくれたり、社員自らが率先してカンパを集め激励をしてくれたりしています。
 相撲部員は、このように声をかけてくれ激励をしてくれる社員に支えられ、毎回の試合に集中出来るとともに、日々稽古に頑張れるのではないかと思って感謝しています。
 こうしたクラブ活動を応援してくれる温かい社風が当社にあるということが、我が社の自慢です。
 
間口相撲部過去の主な成績
平成5年 全日本実業団相撲選手権大会 2部団体優勝
全日本青年相撲選手権大会 団体優勝
平成6年 関西相撲選手権大会 団体準優勝
平成7年 全日本青年相撲選手権大会 個人優勝(浦田)
平成8年 全日本青年相撲選手権大会 個人優勝(浦田)
平成12年 アジア相撲選手権大会 軽量級個人優勝(前田)
平成13年 アジア新相撲選手権大会 無差別級優勝(築比地)
平成14年 世界新相撲選手権大会 無差別級優勝(築比地)
平成15年 全日本実業団相撲選手権大会 個人優勝(前田)
国民体育大会相撲競技 第3位(前田)
平成18年 全日本新相撲選手権大会 無差別級優勝(築比地)11年連続
 
 


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