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発達障害幼児の家庭養育

 事業名 障害児子育て支援のための研修会等の開催
 団体名 全国心身障害児福祉財団  


II 医療との関わり方
 障害があるゆえにかかりやすい病気や合併症または事故などがありますと、健康保持はもちろんのこと、緊急を要する場合も少なくはなく、医療との関わりは重要で欠かせません。そこで、病気の見分け方、対応の仕方、事故が起きた時の病院に行くまでの応急手当ての仕方、病院の上手なかかり方などについて説明することにしましょう。
 
1. 普段からの心がまえと準備
(1)主治医病院や救急時に入院できる病院を決めておく
 日常の健康管理や健康をそこねた時に受診する、信頼のおける主治医病院を決めておきましょう。てんかん発作や心臓病などを合併している場合は、定期的に脳波や心電図の検査などを受ける必要があります。そのような設備が整っていて、なるべく近所にある病院が望ましいでしょう。
 次に、いざという緊急事態の時にはいつでも入院できるような病院をみつけておくことも大切です。普段から救急時にはどうしたらよいかを主治医に相談しておき、できればその医師から紹介されるのが一番望ましいことです。その場合、主治医から治療経過や症状、処方されている薬などが詳しく書かれている紹介状をもらい、必要があればレントゲン写真、脳波検査結果、CT、心電図、あるいは生化学検査結果などが添付されていると、緊急時の対応もスムーズに行われます。
 家庭での症状を、主治医や救急病院でとっさに要領よく説明することはなかなか難しいものです。要点を書きとめておく習慣を身につけ、必ず検温をしてから出かけるようにしましょう。また、さっと入院できるように、普段から必要な物をバッグに詰めておくと、あわてたり忘れ物をしたりしないですみます。
 お母さんが不安定ですと、子どもに微妙に影響を及ぼし、必要以上に病院をこわがったり不安に思うものです。子どもの心理状態にも心配りをしてあげて下さい。
 
(2)応急用品を常備しておく
 「備えあれば憂いなし」とは昔からよくいわれてきた言葉です。使いたいと思った時に必要な物が切れていたりすることはよくあることです。日頃から点検しておきましょう。さて、応急用品といっても、その子どもの状態によっては多少必要品が異なりますが、最低限の用品としては次の物があげられます。
 ガーゼ、脱脂綿、はさみ、消毒薬、綿棒、体温計、水枕(アイスノンであれば冷凍室に入れておく)、ピンセット、毛抜き、包帯、バンドエイド、三角布などです。医師に相談して処方された解熱剤を入れておくのもよいでしょう。これらの品はすべて薬局で市販されている物ばかりです。使ったら補っておき、また、有効期限の切れた薬などはとり替えておきます。いつでも、とっさの場合に使えるよう、家族みんながわかっている場所を決めて常備しておきましょう。
 
2. 病気の見分け方、救急時の対応
 子どもに病気はつきものです。そう心配することはありません。とはいっても、お年寄りの知恵を借りることもできず、特に初めての子どもであれば母親一人でどうしたらよいものか判断に苦しむことも少なくないようです。
 家庭で養育される場合、普段と異なった病状がみられた時に、その症状は心配する必要はなくお母さんの行う家庭看護で十分なものか、緊急を要する病気が疑われるかどうかを見分ける必要があります。緊急を要する病状はたいがいは夕方から症状が出やすいものですが、あわてずに朝まで待って診断を受けに行っても遅くはないものもあります。そうではなく、一刻を争うもので、急いで病院にかけつけなければならないものもありますから、一つひとつの症状に対して適切な判断をすることが大切になってきます。
 障害がある場合、体調を整える機能や、脳の発達や調節機能が健常児より多少未熟であるため、病気が頻繁にくり返されたり重篤になりやすい状態にある子どももいます。そのため、一般の育児書に書かれている内容にさらに障害の特性を加味した判断が必要とされます。
 それでは、一つひとつの症状からどのように判断していったらよいのか、その見分け方のポイントをあげてみたいと思います。
 
(1)発熱
 子どもはよく発熱します。発熱した時、このまま家で様子をみながら手当てするだけでよいのだろうか。それとも決められた診察時間まで待って病院へ行こうか、いや、救急車を呼んで病院へ行かなければいけないのだろうかと、そのたびに迷うものです。
 熱は他の大きな病気を伴うことも多くありますから、あなどってはいけません。他の症状があるかどうかをよくみながら、発熱に対する対応の判断は、以下にあげる点を目安にして決めて下さい。
●家で様子をみながら熱の手当てをしてよい場合
 37度台で機嫌もよく食欲もあり、いつもとあまり変わらないような時は家で安静にさせ、頭を冷すなどの熱の手当てをしながら1〜2日家で様子をみます。熱を時々測り、他の症状も記録しておいた方がよいでしょう。食事は、好みの物を与え、水分は充分に補給しておきます。
●診察時間を待って病院に行ってもよい場合
 38度以上の熱がある場合は、発熱の原因が何なのかを診てもらい、薬を飲むなど病院で何らかの手当てを受ける必要があります。
 微熱が3日以上続いている場合も、病院に行きましょう。3日も熱が続きますと、不機嫌になり、食欲も落ちてきますから体力も消耗します。栄養価が高く消化の良い物を工夫して食べさせ、水分は十分にとらせてあげます。
 発熱の他に、下痢、腹痛、発疹、嘔吐、せき、水庖、耳の下が脹れてきた、などの症状が出てきたら他の流行性の病気や肺炎などの大きな病気が疑われるかもしれません。このような症状がみられる時は、普段より厚着をさせ、診療時間に合せて小児科を受診して下さい。
●緊急を要する場合
 普段と様子が違ってグッタリしている、小鼻をピクピクさせ呼吸が苦しそう、口唇が紫色になり(チアノーゼ)、顔色が青白く、手足が冷たい、10分以上もひきつけが止まらない、嘔吐が激しく何回も続く、意識も薄れがち、などの様子がみられたら急いで病院にかけつけなければなりません。発熱と下痢・嘔吐が重なり、水分を受けつけず、グッタリしてきた時は脱水症が疑われ急を要します。これらの様子が現れたら、夜中であれば救急車を呼んで、大至急病院で受診して手当てを受けて下さい。
 
(2)吐く
 特に脳性マヒなどの重度発達障害児の場合は、乳児期を過ぎて幼児期になってもよく吐くことが多く、お母さんを心配させています。吐く原因としては、発達が未熟なため、病気があるため、障害があるため、の三つが考えられます。
●発達が未熟なため
 乳児の胃の形は大人と違って「とっくり状」で、垂直にストンと真直ぐになっており、胃の入り口の筋肉の締りが悪いため、飲んだミルクなどがゲップのはずみに簡単に逆流しやすくなっています。大人の胃は「J」の字型にカーブしていますから、嘔吐は苦しく、めったに吐くことはありません。
 また、4〜5ヵ月頃まではミルクの飲み方も下手で、空気も一緒に吸い込んでしまいますから、飲んだ後には必ずゲップが出ます。ミルクを飲んだ後は抱っこして背中を下から上にさすってあげるとゲップが出やすくなります。ゲップの後で寝かせる時は、上体を高くして、少し顔を横向きにし、吐いた物が気管に入らないようにしてあげて下さい。吐いても元気で体重増加も順調なら心配ありません。
●病気が疑われる場合の嘔吐
 吐き気を伴う病気は、風邪を始めとしてたくさんあります。障害児にみられる病気は幽門狭窄症(ゆうもんきょうさくしょう)です。これは、生まれつき胃の出口(幽門)の筋肉が肥厚しており、そのためにミルクの通り道が狭くなり、逆流して噴水のように吐く病気です。あまりにも吐くことが多い時には脱水症状が起きてきます。簡単な手術で治るといわれていますので、早めに受診して下さい。吐くことの他に、下痢、発熱、頭痛、けいれん、意識障害など、普段と違う症状がある時にはもちろん受診しなければなりません。
 
図1-23 幽門狭窄症
 
図1-24 腸重積症
 
 その他の子どもの大きな病気としては、腸重積症があげられます。腹痛が激しく、顔色も悪く、血便が出る、激しく泣くなどの症状が目安になります。このような症状がみられた時には至急病院で手当てを受けなければいけません。
 頭を打った後に吐く症状を伴う場合には、激しい頭痛や意識障害を伴うことも多く、頭部外傷や半身マヒなどの後遺症を残す状態になると一大事です。早めに病院にかけつけて下さい。
●障害があるため吐きやすい子ども
 ダウン症児のように、全身の筋緊張が低下して、やわらかいタイプの子どもの場合は、胃の発達が未熟で、口の中の口腔機能の発達も未熟なために吐きやすい子が多くみられます。この場合はそれほど心配する必要はありません。体重の増加が順調かどうかをみながら、日常では、吐いた物が気管に入らないよう、顔を横向きにする、ゲップを出してあげる、などの配慮をしてあげるだけで十分です。
 脳性マヒ児のように、全身の緊張の高い子どもの場合は、食べさせる時の姿勢が問題になります。姿勢が悪いと、たいていは激しいムセと咳に伴って、せっかく食べさせた物を吐いてしまいます。また、痰がからんでいる場合もムセて吐きやすくなります。この場合の対応策としては次の三つがあげられます。
(1)痰を吸引器で取ってあげる。
(2)姿勢を直してあげる(この方法は、20頁に示した図や説明を参考にして下さい)。
 要点をもう一度あげますと、
・全身の姿勢を過緊張がとれるように直してあげる。
・頭を後ろに倒して“人工呼吸姿位”にするとムセやすくなるので、頭はやや前に倒して気道を閉じさせる
(3)口腔機能の発達に合せた食物形態とする。食物形態とは、流動食→糊状食→きざみ食→普通食の4段階に分けられ、発達とともに矢印の方向に進めていきます。また、食物を口に入れる時には、舌先にスプーンが当たらないように少しずつ口の横の方から上下の歯の間に置くように、ムセるかどうかを試しながら入れてあげます。口の中にいっぱい詰めこむと、喉が刺激されて吐いてしまいますから注意しましょう。
 以上、吐くといってもいろいろな原因があり、発達とも関係があります。3分類したうちのどれにあてはまるのかを判断して、各々の対応策のもとに対処して下さい。
 
 病気を見分ける目安となる症状は、発熱、嘔吐以外にも、頭痛、下痢、腹痛などたくさんありますが、小児科一般の病気については他の育児書を参考にし、また、直接小児科医に相談して下さい。


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更新日: 2019年5月18日

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