日本財団 図書館


松本 麻美(まつもと あさみ)
(昭59.6.25生)神奈川県大和市
 
 インドのプーナにストリートチルドレンのための孤児院を運営する団体(AIC)を設立し、アメリカ、カナダ、日本等5カ国をべースとする学生との交流を基に、ストリートチルドレンヘの支援と行動を起こす大切さを社会に発信し続けている。
推薦者:堀越 信二
 
MS. Asami Matsumoto (born June 25, 1984) Yamato City, Kanagawa Prefecture
 
 Ms. Matsumoto was a key member of the university students who established an organization (AIC) to manage an orphanages for street children in Pune, India. Through interchanges with university students based in five countries--including the US, Canada, and Japan--she is communicating to society the importance of supporting and taking action for street children.
Recommended by: Mr. Shinji Horikoshi
 
 2004年、松本さんは、インドのストリートチルドレン問題に自分たちで行動を起こそうと決意し、仲間と共にAIC(アシュレヤ・イニシアティブ・フォー・チルドレン)を創設し、在学していたカナダのマギル大学に支部を設立した。路上で暮らすことを余儀なくされた子供達に温かい家庭を提供する一方、広く啓蒙活動にも取り組む、孤児院の運営のための活動である。彼女は持ち前の行動力を生かし、在籍する大学で資金集めや啓蒙活動のリーダーシップをとった。学校新聞でも記事として取り上げられ、最も活躍した団体の一つとして大学からノミネートされ、多くの学生に活動することの大切さを強くアピールすることになった。
 さらに松本さんは、活動の場を日本にも広げようと決意した。インターネットを利用して日本の学生に呼びかけ、日本支部のスタッフとなるメンバーを集め、2005年に日本支部を立ち上げた。長期休暇を利用して日本に帰国し、カナダでの経験を活かして組織基盤を作り上げた。そして松本さんは、様々な大学から集まったメンバーと共に、「学生を元気にする」という理念を共有した他学生団体の協力を得、設立からわずか3ヶ月で大規模なイベントを実施した。イベントでは、松本さんはパネラーとして、大手企業及び政府系国際協力団体と並んで、「国際協力とは」というテーマのもと白熱したパネルディスカッションを繰り広げた。さらにその後もネットワーク作り、チャリティー音楽イベントの開催などに奔走した。
 松本さんの活動は、アメリカ、インド等世界五カ国に支部を持つAICの理事として、国際理解を常に念頭に置いたものとなっている。各国に散らばった理事間での意思疎通、様々な国籍及び文化背景を持つメンバーと、巧みな国際感覚を持って、世界の学生と協力して活動に取り組んでいる。
 
 
受賞の言葉
 私自身がたくさんの方々に支えられてきたように、私も人の支えになりたい!その一心でインドのストリートチルドレン問題に取り組んで来ました。
 この活動の中で、行動することの大切さ、たくさんの人と協力することで生まれる可能性の大きさをいつも感じています。
 これからも自分の全力を尽くして、皆で協力しながら、子どもたちの笑顔のために活動に取り組んでまいりたいと思います。
 
ミーティング(カナダ・マギル大学)
 
インド文化紹介イベント(カナダ・モントリオール)
 
 
こども読書推進賞
大欠(おおかけ)なかよしバス図書館(としょかん)
秋田県鹿角市
 
 廃バスを利用した図書館が開設され、子供たちを主体に親が協力する形で30年にわたり運営されて過疎地域の子供たちの読書を支えてきた。
推薦者:十和田図書館
 
Okake Nakayoshi Bus Library Kazuno City, Akita Prefecture
 
 Established using a discarded bus, the Okake Nakayoshi Bus Library has supported children's reading in remote regions for 30 years. Its activities are based on cooperation provided by parents that is focused on children.
Recommended by: Towada Library
 
 昭和51年、秋田県鹿角市の農村地帯・大欠地区に、廃車になったバスを利用した図書館が誕生した。市立図書館から10kmも離れた地域の子供たちに読書の喜びを与えたいとの親たちの願いを、親子が協力して実現させたものである。親子一緒に実施した「なかよし祭り」の収益や、住民からの寄付で図書購入費を賄い、運営は子供たちが主体となり、親がそれを脇から援けた。
 設立後10年が過ぎた頃から農家の兼業共稼ぎが一般化して図書館を手伝える親が激減し、館の継続が危ぶまれる事態となったが、虎渡夫妻、とりわけ虎渡美智子さんの献身的な努力がバス図書館の存続を支えた。
 子供たちが近くの墓地の清掃で得たお駄賃の一部を図書購入費に充て、寄贈図書も増えて、蔵書は現在2,500冊を超えている。
 子供たちに読書の楽しさと絵本や「図書館便り」作りを教え「みちこ先生」と慕われた虎渡美智子さんは平成15年に亡くなり、夫の進氏が引き続き来館児の世話を続けている。開設当初の子供たちが今や我が子を連れて来館し、離れた地域の子供の利用も増えて、バス図書館は開設30年目の現在も地域の子供たちに読書の楽しみを与えている。
 
 
受賞の言葉
 資金も施設も何もないところから始めたバス図書館が、30年という記念の年に大きな賞を頂きました。
 始めた頃の親と子から次の世代に移り、時には祖父母、親、子と3代が揃うこともあります。
 地域の子供が減り、地元の小学校に通う他地区の子供たちにも利用されています。
 子供のいる限り続けたいと思います。
 
虎渡 進氏
 
バス図書館の外観(出入口)
 
バス図書館内部
 


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION