桂 才賀(かつら さいが)
(本名 谷 富夫(たに とみお))
(昭25.7.12生)東京都台東区
落語家七代目桂才賀として活躍する一方、20年にわたり少年院篤志面接委員として全国の少年院を訪問して少年達と本音の話し合いを続けるほか、PTA、自衛隊、刑務所等での講演や慰問活動を行うなどボランティア活動に力を注いでいる。
推薦者:社会貢献支援財団 事務局
Mr. Saiga Katsura (real name: Tomio Tani) (born July 12, 1950) Taito Ward, Tokyo
While active as a rakugo performer known as the seventh Katsura Saiga, Mr. Katsura has continued to visit orphanages throughout Japan and to engage in frank discussions with young people as a volunteer interviewer at reformatories. He has also committed himself to other volunteer activities that include giving lectures and consolatory visits for PTAs, the Self-Defense Forces, and prison inmates.
Recommended by: Secretariat, FESCO
桂才賀さんは、1985年真打に昇進して「七代目桂才賀」を襲名した落語家である。1989年には国立劇場金賞を受賞した。高座で本業をつとめる傍ら、映画、ドラマ、舞台などで活躍している。
その才賀さんのもう一つの顔は、非行歴を持つ少年少女達のための多年にわたるボランティア活動家の顔である。法務省・久里浜少年院長から少年院篤志面接委員の委嘱を受け、全国各地の少年院、女子少年院を年間平均20回は訪問し、入所している若者達を笑わせながら明日への希望をつなぐ話を聞かせた後、一対一で本音で話し合う。この活動は既に20年にわたり、才賀さんのライフワークとなっている。「少年たちは笑いに飢えている。それだけ彼らは難しい境遇で生きてきて、それゆえに罪を犯してしまった子どもたちです。彼らの心が少しでも明るく、前向きになってくれれば、ボランティアで出前落語をする意味も生まれてきます」と語る。才賀さんは、また、PTAの依頼による非行問題に関する講演、自衛隊の慰問や刑務所、拘置所での講演・慰問活動など、本業を上回る時間をボランティア活動に費やしている。
才賀さんは、3年前に「子供を叱れない大人たちへ」という一書を著し、多年、子供達と本音で話しあってきた自らの体験を踏まえて、父母、先生、世の中の大人達それぞれに子供達の本当の気持を伝え、彼らとどう向き合って欲しいかをユーモアをこめて率直に語っている。才賀さんは、最近、親や教師の常識外の言動が目につき、子供達よりむしろ親や教師に問題がある場合が多いと言う。また、この国では加害者保護に比べて被害者の保護が遅れていると感じる才賀さんは、親を犯罪で失った子供達の学資などに充てるべく、著書の印税を「犯罪遺児救済基金」に寄付している。
受賞の言葉
今回の受賞は誠に恐縮でして、小生の様な者がと、今でも気はずかしい気持です。噺家の落語は説法、その事を今後も地道に続けてまいります。犯罪に走ってしまった少年たちに、笑える説法を一人でも多くの子に聞いてもらいます。全国各地でそっと声を掛けてくれる卒院生「先生!どこそこの少年院で聞きました、大笑いしました、今は真面目にやってますよ!」その声を力に体の続く限り、不良少年=不幸少年たちに笑える説法を語り続けます、今回は本当にありがとうございました。それをバックアップしてくれている妻にもありがとうございましたと。
少年院の若者達に笑いと希望を与える
一席うかがう七代目桂才賀師匠
江口 喜多枝(えぐち きたえ)
(昭30.1.22生)東京都江東区
食糧並びに教育援助を柱として「モンゴル子ども支援国際ボランティアネットワーク」を設立し、率先してモンゴルの孤児院の支援、奨学生の援助、文化交流等を行っている。
推薦者:草賀 郁子
Ms. Kitae Eguchi (born January 22, 1955) Koto Ward, Tokyo
Ms. Eguchi established the "International Volunteer Network for Assistance to Mongolian Children" as a body engaged primarily in food and education support. She is taking the lead in assisting Mongolian orphanages, supporting scholarship recipients, and promoting cultural exchanges.
Recommended by: Ms. Ikuko Kusaga
江口さんは、1999年に国際ロータリークラブの地区委員としてモンゴルを訪問し、日本語学校へ教材を、病院へ医療機器を、シングルマザーの働く場所としてアイスクリーム、パン工場を、ロータリークラブから寄贈した。医療機器は新生児の死亡率を下げるため超音波装置を贈り、パン工場は売れ残ったパンを食料として持ち帰れる等、現地に合った支援を行った。
しかし、この支援は単年度で終わるため多くの問題が未解決で残り、支援の内容も限られていた。漏れた支援や支援を待つ孤児たちを江口さんと新藤さんの2人の委員は見捨てることができず、個人的に支援活動を始めた。2人は緊急用自動車の寄贈と、孤児院の支援を行った。孤児院は、ストリートチルドレンを引き取って育てており、江口さん達は20人程の孤児の食費として必要な月2万円を二人で負担することにした。その後、孤児の数が増えるに伴い支援額も増えていった。現在、孤児は300人に増えている。
個人の支援に限界を感じた江口さんは、2003年10月、「モンゴル子ども支援国際ボランティアネットワーク」(IVNMC)を設立し、その代表となった。IVNMCはモンゴルヘの食料援助と教育援助の2つを活動の柱としており、同年パン工場へ機械を贈り、120人の子どもヘパン給食を開始した。教育援助では奨学金制度を設け20名以上の奨学生を支援している。奨学生は大学進学より職業訓練を優先させ、将来のモンゴルを背負う人材の育成を目指している。その他、図書や学用品の寄贈も行っている。また文化交流としてモンゴル平原での日本の凧揚げや、江口さんの恩師の協力を得て弓の交流も行った。
IVNMCの活動資金は、支援団体や有志からの寄付を純粋に支援に使うため、モンゴル現地での事務所費、通信費、人件費や江口さん自身の渡航費用、領収書の出ない経費は江口さんが個人で負担している。こうした江口さんを中心としたIVNMCの活動や働きかけはモンゴルの人々や政府を動かし、自助努力への動きも出てきた。江口さんは、IVNMCの活動が早く不要となることを願いながら活動を続けている。
受賞の言葉
この度は、モンゴル子供支援(IVNMC)への栄えある賞を賜り心より御礼申し上げます。
この報にモンゴルの理事達も来日し、共に喜びを分かち合い、「今後も両国共に頑張って行こう!」と私達の活動の大きなエネルギーになりました。日本、モンゴル、両国の会員のご協力、努力の賜と思います。
小さな奉仕活動ですが、零下40度にもなる極寒のモンゴルで、凍傷で手足を失う親の愛に恵まれない子供達を救おうと、既に8年が経過しました。IVNMCは、日本側だけの一方向ではなく、現地に根付いて運営されています。モンゴルの子供達の食料、教育援助が機軸ですが、「幼い子供達に自立の心が芽吹き、社会に貢献できる人に成長して欲しい。」と願いを込めて、本年よりIVNMCの学校建設をスタート致しました。
モンゴル「ガンダン寺」
親元を離れ、寺で修行する貧しい子供達を訪問
パン工場へ寄贈した機械の前で、働く人たちと
モンゴル弓と和弓を使った交流
奨学金寄贈式
IVNMCのメンバーと孤児院を訪問
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